3月に中国が2兆2千億円相当の米国債を売却していたことが明らかになりました。米国債が貿易戦争の武器に使われるとの憶測が流れます。米国債が大量に売却されれば、ドル金利は急騰して、悪い金利上昇ゆえ、基軸通貨ドルへの信認は薄れます。市場は大混乱に陥るでしょう。まだ2兆円程度では、市場への影響は軽微です。
中国の米国債保有額はざっくり120兆円相当。中国の外貨準備は330兆円相当。ですから3月の売却額2兆円程度は、ほんの一部に過ぎません。
とはいえ、3月の米国債売却量は16年10月以来の大きさ、米国債保有額は17年3月以来の少なさ、と言われると、やはり気になりますね。
米国債が売られ、代わりに買われているのが金。中国人民銀行が外貨準備としての金保有を増やしていることは、本欄でも書いてきました。
中国政府としては、米国の匂いがプンプンする米国債より、無国籍通貨=金のほうが、保有しやすいのです。
いずれは、中国の公的金準備が5000トンに達すると私は見ています。
年間金鉱山生産量が3300トンほどですから、これは市場に大きな影響を与えます。これが私の長期金強気論の理由の一つなのです。