東京市場が10日間、閉鎖される。
欧米の常識では考えられないことだ。クリスマス休暇で2週間休む人は多いが、その間、市場が土日以外にクローズされるのは2日間程度だ。
3連休でも、NY市場はオープンあるいは半ドンというケースも少なくない。
しかるに、日本では、年末12月28日から1月3日まで、毎年、1週間、市場はクローズされる。
そして、今年は10連休。
筆者も個人的には休みが増えて大歓迎だが、マーケット目線で考えると、怖さを感じる。
10連休中に、例えば、米中通商交渉が決裂して、上海株が暴落。世界同時株安の連鎖となった場合、日本の投資家は指くわえて座視するだけだ。AIアルゴリズム主導の市場では、下落ペースも規模も加速・増大しよう。
目先の効く投資家は、日経平均を2万円で売れる権利(プットオプション)購入で自衛に走る。今日の日経平均は2万2千円台なのに2万円で売れる権利を買う。これは、10連休中に日経平均が2万円の大台を割る有事に備えた行動だ。
しかし、多くの投資家がプットオプション購入に動けば、プットオプションのコスト(オプション・プレミアム)は急騰するだろう。プットオプションの市場規模も限定的ゆえ、全ての注文をさばききれる保証はない。
10連休中は、市場機能を完全に停止せず、万が一の救済措置の可能性は残すべきであろう。いかに働き方改革といっても、市場が破壊されるような局面になれば、関係者は出動せねばなるまい。そのためのインフラは残すべきだ。そこで休み損ねた人は、代休という手もあろう。組織内でシフトを組む夏休みスケジュールと同じ発想だ。
そもそも働き方改革といっても、現場の人たちの多くは家庭に持ち帰ってやり繰りしているのが実態だ。

いっぽう、10連休は、短期投資から長期投資にシフトする良い機会にもなる。肝を据え10連休になにが起ころうと、地道に積み立てを続けることで長期投資をいやでも実践せざるを得ない。長期投資の視点なら、10連休、恐るまじ。底値も拾えるチャンスとなるやもしれぬ。
更に「金」保有なら10連休でバタつくこともない。
世界同時株安になれば、欧米市場で、金は買われよう。
かりに、なんらかの要因で金価格が暴落しても、積み立てなら、手も出せず、怖い思いはするが、結果的には、慌てて余計な売買せずに済む。リーマンショック直後も、金は暴落したが、その後、他の資産に先駆け、急反騰した。大きな経済ショックが起こると、金を売って、株の損失の埋め合わせに充てるのだが、一難過ぎれば、金は買い戻されるものだ。
10連休で知る金の資産価値としての有難み、とでもいえようか。