令和時代に社会のコアに入ってくる新世代の投資家。
市場目線で令和時代の課題は、外人投資家主導から日本人投資家主導の日本市場への転換であろう。そのためには、金融リテラシーを高めることが必須だ。しかし、「言うは易し、行うは難し」。「投資は怖い」としり込みする多くの日本人の不安感を軽減するには、忍耐強くマネー教育を続けねばならない。しかし、一般個人の意識を変えるのは10年仕事だ。筆者も現場で痛感しているところだ。初心者向けセミナーでは、結局、上がるか下がるか?との短絡的質問が圧倒的に多い。そして、日本人特有の質問なのだが「よそさんはどうなんでしょうか」。店頭でも頻繁に出る質問は「今日は、売る人が多いか、買う人が多いか」。専門家なのだから「てっとり早く儲かる裏ワザ」を教えろ、と迫られる。50分の講義中は殆ど居眠り状態で、最後の10分に「予想レンジは」と語り始めると、急に起きて目つきがランランとしてくる参加者も少なくない。
このような投資マインドを持つ個人の多くは中高年層なので、今から変えるのはほぼ不可能と思われる。そこで、筆者は、もっぱら若い世代を中心に説いている。バブルの経験がなく、生まれてこのかた、経済的に良いことはなく、これからもっと厳しくなると覚悟している世代だ。令和時代には社会のコアに入ってくる世代ともいえる。
この世代相手のセミナーの雰囲気は、投資セミナー特有のギラギラ・ムンムンした雰囲気がなく、進学塾の如く、講師の話を熱心にノートにメモするペンのサラサラという音だけが会場に響く。旨い儲け話など、あるはずもなく、かえって怪しいと受け止める世代だ。予想レンジにしても、どこまで上がるか、より下がるとすれば、どこまで下がるかとの質問の方が多い。
赤ちゃん連れの若夫婦も見られ、微笑ましい。赤ちゃんが泣きだすと、慌ててロビーに出てあやしているのは、決まってイクメンのほうだ。ママが会場に残り熱心にメモをとっている。時代の断面図を見る思いだ。「この可愛い赤ちゃんが生まれるまでは、FXに手を出していたが、元号も変わり、この子が成人になる20年後、日本はどうなっているか、気になり始めた。投資もコツコツ長期投資に切り換えた」という話が印象的だ。自分たちの時代が厳しいことは覚悟のうえ。でも、この子に辛い思いはさせたくない。まだ財産といえるほどのものもないが、少なくとも自分たちにはまだ時間があるから、その時間を武器に勉強は続けたい、と言われると、講師としても、やりがいを感じるものだ。
筆者が途方にくれたのが、20台前半の女性たちとのセッションだった。テレビや新聞は見ない読まない。このセグメントにリーチするには「スマホのアプリ」しかない。なにせ、卒論をスマホで打つ世代だ。アプリ・ソムリエという専門家の協力で、経済・投資の教育アプリを開発中だ。特定の商品を売るアプリではない。質問に答え、徐々にレベルアップしていく仕組みだ。ここはキャンディークラッシュに似る。
令和世代が、日本人主導の市場で存在感を高める日も来ることを願う。
そして、今日の写真。ガーラ湯沢は今日も晴れの新雪。桜満開と同時期に、冬並みの良質新雪で滑れるとは、信じられないほど。今年の4月はスキー&花見の極楽だよ(笑)