今日の話は地味で専門的な債券市場の出来事ゆえ、スキップしてもいいよ()

一応、事前知識として、昨日、日銀が実施した国債買い入れオペ(国債買って、市場に資金を供給する市場操作)で、超長期国債(10年から25年超)の買い入れ予定額を200億円ほど減らした。これは、マネー供給を減らすことだから、金融緩和ではなく金融引き締めの匂いがするので、市場は、いよいよ日銀も、FRB,ECBに次いで、量的質的緩和に乗り出すのか、と色めきたった。

 

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トランプ税制改革、好調米国経済指標にもかかわらず突破できなかった米10年債「2.5%の壁」が、「日銀の変」により、あっさりブレークされた。外為市場の主役も、一夜にして、ECB(欧州中央銀行)からBOJ(日銀)に移った感がある。昨日アジア時間帯で日銀が超長期債買い入れ減額を通知してから、「伝言ゲーム」の如く、欧米市場の末端では「いよいよ日銀も出口戦略に動く」とまで話が膨らんだ。

おりしも外為市場では、ユーロ買い攻勢が対ドルで1.21の大台を突破できず、失望感からユーロ安・ドル高に転じていたタイミングであった。ECB量的緩和縮小の落としどころについて様々な観測が流れるなか、突如、日銀から想定外の動きが出たことで、市場が過剰に反応した感がある。

あらためて、2018年は中央銀行「金融正常化レース」が大きなテーマであることが確認されたともいえよう。マラソンに例えれば、先行独走のFRB,周回遅れでスパートをかけたECB、そして追う日銀もレース参加の気配、とマーケットは受け止めたわけだ。この一位、二位、三位ランナーの間隔差が、ドル・ユーロそしてドル・円レートを直ちに動かす。

円相場には目もくれずユーロ買いに走っていた通貨投機筋も、昨日は日本市場に注目した。

ECB由来のユーロ買いが一服すれば、次のターゲットはBOJ,との認識が透ける。

まだ新年相場も始まったばかりだが、この3日間で、今年の予告編を見せられたようだ。

一位FRBの金融正常化・利上げペースが本当に緩やかなのか。まずは3月FOMCでのパウエル新議長デビューで利上げあるか否か。3月利上げで、円高リスクが若干弱まれば、日銀の出口がより現実味を増して注目されよう。日銀が一位二位との差をつめれば、先行ランナーはピッチを速める可能性も指摘される。

昨年は「不動の一年」を貫いた日銀だけに、今年は米利上げと日銀出口のせめぎ合いが円相場を揺らすことになりそうだ。

そしてドル金利が上昇すれば、金利を生まない金の価格上昇も頭打ちになる。