対中2千億ドル追加関税発動なのに、なぜ株が買われるのか?NY市場でも喧々諤々の議論が交わされている。

「悪材料出尽くし」というのは、いかにも株のセールストークに聞こえる。今後、トランプ大統領が更に中国からの全輸入に対して25%関税発動のシナリオには現実味がある。「リスクオン」との掛け声も勇ましいが、現場では高揚感に欠ける。

「中国側の対抗手段には限界があるので、米国有利の展開。新興国経済不安でマネーが米国に逆流中」で米国株は上昇するだろうが、上海株はもっと下落するはず。

「早晩米中は折り合う。共倒れのリスクは回避される」との楽観論も、先週金曜日のNY市場前場までは株価を支えていた。しかし、トランプ大統領はムニューシン財務長官の対話路線より、ライトハイザー通商代表部代表の強硬論を選択。その後、NY株価は一転急落した。

その時点で株先物売りに走った投機筋が、「噂で売って、ニュースで買い戻した」との指摘もある。現場の感覚では、ありそうな話だが、それだけなら、昨晩のNY市場はもっと乱高下したはず。実際には、引けまで概ね上昇基調が続いた。VIXも12台で安定している。

債券市場も昨日は楽観的だった。米国10年債利回りが再び3%の大台を突破。安全資産の米国債が買われるどころか、逆に売られたのだ。米国経済のインフレ期待上昇を映す現象と解釈される。「株式市場は楽観論で育ち、債券市場は悲観論で育つ」と言われるが、その債券市場でさえ警戒感が薄い。

市場が米中貿易戦争エスカレートではなく、暫時ディエスカレート(沈静化)と読んだ、という見方は考えられるシナリオか。

関税率25%を覚悟していたが、年内は10%に抑えたことが、現実的妥協模索の姿勢と理解された。年末までまだ3ヶ月ある。一四半期あれば、十分に売買回転をこなす時間的余裕がある。この「執行猶予期間中」にヘッジファンドが一勝負かけた、というわけだ。

いずれにせよ、市場内で、トランプ大統領の次の一手を正確に読める人はいない。昨日のトランプ発言も「対中交渉にはオープン」と語ったかと思えば、ポーランド大統領との共同記者会見で「中国からも、そして失礼ながら貴国が属するEUも含め、米国はリップオフ(ぼったくり)されっぱなしだ」と言ってのけた。

トランプ氏の本音を測りかねた米年金基金などの良質の投資マネーは足元で模様眺めを決め込んでいる。

市場が米中貿易戦争に本当に警戒感を示すシナリオとしては、中国保有の米国債売却や、なりふり構わぬ人民元安誘導が語られるが、これは非現実的。副作用が中国経済に跳ね返るのは必至だからだ。

筆者は、金利を市場へ持続的影響を与える変数として重視するので、FOMCの利上げ判断を揺らす事態になるか否かに注目している。

さて、昨日から復活した旨いもの写真。山梨直送の葡萄。ピオーネ、シャインマスカット、ゴルビー。今年は猛暑で葡萄の糖度も高い。ワインは当たり年だね。そして、千疋屋のシャインマスカット・パフェ。暑い日にはたまらないデザート笑 そして、千疋屋の天然ジュースセット(いただきもの)。

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