トランプ大統領がパウエルFRB議長を「非公式な夕食」に招待した。ムニューシン財務長官とクラリダFRB副議長も同席した。FRB発表によれば、経済一般の意見交換で、金融政策ついての直接的議論はなかったとされる。

この会食が実現した背景としては1FOMCでのパウエル氏のハト派への転身が指摘されよう。もし、パウエル氏が利上げ容認のタカ派姿勢を貫いていたら、この会食は実現しなかったであろう。パウエル氏が利上げ・FRB資産圧縮の停止を示唆したことにより、自称低金利人間トランプ氏との距離が縮まったことは間違いなかろう。パウエル氏は「政治的独立は中央銀行のDNA」と明言したが、結果的には、1FOMCがトランプ氏への「満額回答」となった。その「ねぎらい会」とでもいえようか。

市場の関心は、この蜜月がいつまで続くか。

「データ次第」ゆえ、米経済指標好転が続けば、3FOMCでパウエル氏は一転利上げの可能性を語るかもしれない。そうなればNY株価は下がる。トランプ氏は一転パウエル氏を株価下落の「主犯」とするFRB批判を再開しよう。今やパウエル氏のキーワードとなった「忍耐強さ」は、トランプ氏に限っては期待できまい。

トランプ氏にとって、パウエル氏は、民主党ペロシ氏と並び、大事な「責任転嫁」の矛先なのだ。

同席したムニューシン財務長官も、潜在的に株安の「責任転嫁」対象者だ。

米中通商交渉において、ライトハイザー米通商代表とナヴァロ米国家通商会議委員長は強硬派。ムニューシン財務長官とクドロー国家経済会議委員長は柔軟派。政権内ライバルを競争させるトランプ流人事だ。現状では、強硬派有利の観測が絶えない。国務長官、司法長官、主席補佐官が更迭され、次は財務長官か、との噂も絶えない。

なお、空席のFRB理事ポストに、トランプ氏は、ハーマン・ケイン氏を指名との報道も流れている。カンサス地区連銀勤務歴があるが、その後、ピザ店舗会社CEOに転身。2012年共和党大統領選挙に立候補したが、セクハラ疑惑で脱落した。議会でのFRB理事承認には手間取りそうだ。金本位制を唱える。「トランプ大統領を弾劾から守る」運動の共同主宰者で、トランプ氏は「いい奴だ」と評する。FRB人事を、じわりトランプ色に染める意図が透ける。

なお、もし再び会食に招待されるときは、パウエル氏も踏み絵を踏まされることになろう。大統領とFRB議長の会食が常態化の兆しを見せれば、市場では政治的独立性が疑問視されよう。

 

トランプ・パウエル会食のメニューはステーキだったそうだが、自由が丘マガーリの岡山産ビーフ、ルッコラ、パルメジャーノチーズのコラボのほうがいいね()生ハムも定番だが、冬の上質な素材。こういう基礎的なメニューにシェフの力量がはっきり出るもの。

0206_prosciutto.jpg<br/>
beef_arugula.jpg