昨年は3%台定着が語られた米10年債利回りが、先週から2.5%台まで下落する局面が見られる。低インフレ時代を象徴するごとき現象だ。

このような経済環境で、市場は19-20日のFOMCに向け助走を開始している。

金融政策を巡る議論もヒートアップしてきた。

まず、金融政策の方向性を明示するツールとして、3か月ごとに発表されるドット・チャート(FOMC参加者の金利予測分布)を廃止すべきか否か。パウエル議長は、無用の市場混乱を引き起こす可能性を懸念している。イエレン前議長は、金利予測はあくまでFOMC参加者の個人的見解と強調していた。いっぽう、ドット・チャートを重視して、将来の利上げ回数を議論してきた市場では、廃止論に懸念の声があがる。なにをよすがに、金融政策の先行きを測ればよいのか。唐突にFOMC声明文で金融政策変更が告げられ市場が乱高下するリスクを無視できない。

代替的な金融政策ツールとしては、インフレ・ターゲットを引き上げる案が論じられる。目標インフレ率を2%から引き上げる可能性だ。2%を突破しても、利上げせず、量的引き締め(FRBのバランスシート圧縮)は停止するシナリオだ。マーケットでは、かなりの緩和姿勢と評価されよう。

量的引き締め(FRBのバランスシート圧縮)については、落としどころ、即ち、最終的にFRB保有資産は何兆ドルが適当か、との議論にも関心は高い。イエレン時代には、2020年を過ぎても徐々に減らし続けるとの方針が明示された。量的緩和終了時には4.5兆ドル規模まで膨張したFRB保有資産の最終的な適正規模は、2兆ドルから、多くて3兆ドルという見方が大半であった。しかし、現在は3.5兆ドル程度との意見が増えている。3兆ドル以下まで減らすと、金融引き締め効果がオーバーキル(締めすぎ)となるリスクが警戒されているのだ。バーナンキ元FRB議長は、経済が成長すれば、FRBの資産規模が増えるのは当然との意見だ。仮に3.5兆ドルとすれば、もはや、資産規模の減少余地は5000億ドル程度である。現在の月減少ペースが最大500億ドルとされるので、年内には終了となる。秋口には量的引き締め終了観測の根拠にもなっている。

 

利下げの可能性を巡る議論も日々顕在化している。

18日には、コチャラコタ前ミネアポリス連銀総裁が、経済テレビで、「インフレ率が上がらない状況では、次の景気後退に備える予防的措置として利下げも考慮すべき」と発言した。現状の米政策金利が2.25-2.5%のレンジで、既に中立金利に近い水準と見られる。FRB次の一手は、もはや利上げではなく、利下げ、との見解だ。

FOMC後の記者会見で頻繁に質問者となるFEDウオッチャーのスティーブ・リースマン氏は、米国CNBCの調査結果として、約3割の市場関係者が2020年利下げを見込んでいると報告した。

メディアでは「利下げに備えよ」との特集も見られた。

但し、利下げせねばならぬほどの米国経済下振れ、欧州中国経済波乱は「ブラック・スワン」(確率は低いが起これば壊滅的被害を引き起こすイベント)と位置づけられる。

米朝関係が軋み始め、米中関係も今月末予定されていた米中トップ会談が米朝会談不調を受け、先送りされそうな状況だ。北朝鮮核実験再開や米中通商協議不合意シナリオがリスクとして浮かぶ。

習近平氏は、ブラックスワンだけではなく、「灰色のサイ」にも警鐘を発した。起こる確率は高いものの、だれも何もできずに見ているしかないリスクのことだ。具体的には中国の債務膨張リスクを指すと理解されている。

 

かくして、日本時間春分の日、早朝に行われるパウエル議長の記者会見への注目度は高い。FRBハト派姿勢が更に強まれば休日のドル安・NY金高になるかも。

NY金は1300ドル挟んでの動きになっているが、FOMCをキッカケに方向性でるかもね。

 

今日の写真は、六本木ミッドタウン虎屋のよもぎ餅と季節の桜生菓子。

よもぎ餅は、濃いよもぎのホンモノ。

桜生菓子はとにかく綺麗で食べるの惜しいくらい。

仕事打ち合わせは事務所より虎屋のほうが多いかな()

 

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