中国大手銀行のアドバイザーを務めて、多数の若者たちと接し話してきました。

貴金属プロジェクトチーム20名の殆どが20-30代。

私だけが突出した「おっさん」という状態なので、息子娘が父に相談するような感じで、色々身の上相談も受けるまでに親しくなりました。

 

そこには、日本人として既視感のあるような若者の姿がありました。

例えば、30代の女性で未婚だと「出遅れ」のレッテルを貼られる。

親も心配してあれやこれや結婚について口出しする。

日本では、いまや三十路になったから結婚せねば、みたいな切迫感は薄いですよね。

働く女性としては、経験も積んで、仕事に乗ってきた年頃でしょう。

 

それが、中国だと、叔父さんや叔母さんまで、早く結婚相手を探せ、子供を産めとプレッシャーかけてくることも、未だに珍しくないといいます。

「お受験」も、これまた激烈なようで、良い学校を出て、良い(と思われる)会社に就職することを期待されるのです。

なにせ一人っ子政策が30年も続きましたから、一人の子供に対して、父母、祖父祖母の4人の財布から教育費が支出されるようだと、子供一人の教育費に1,000万円以上つぎ込むことになります。実験学校、日本流にいえば、予備校・塾みたいなところが大繁盛。

特に、実験校によっては、そこを卒業すると、自動的にグループ関係の有名校への入学資格が得られることもあります。

学校の先生も、実験校の教師のほうが報酬が高いので、本業そっちのけで塾の先生業に時間を費やす傾向もあるようです。

ついには、新築マンションのなかに、そこに住めば、自動的に有名実験校の入学権がついてくる、というセールスまで出始めました。

通常のマンション価格より3割ほど高いのに、完売です。

マンションといえば、中国ではマイホームを所有していないと結婚資格なしというほど、不動産への執着が強い。

まずは、コツコツ働いて、住居を取得してから、結婚の相手探しとなります。

或いは、相手が決まっていても、マイホームを購入するまで、結婚は待たねばならない。

そのために、なけなしの蓄えを株式投資や商品先物投機に廻し、大損して結婚をあきらめる、というなんとも切ない事例もありました。「どうしたら、いまの貯金を倍にできるか」と切羽詰った質問をよく受けましたよ。そんな旨い話はない!と一蹴したものです。

不動産バブルで、お目当ての物件の価格が倍になってしまい、手が出なくなった、という話もいくらでもあります。

 

ネット世代ですから、中国版ツイッタ―(ウェイボー)のようなSNSへの書き込みも多いですね。それが当局により削除される、ということにも慣れきっています。

思わず笑ってしまった事例は、お茶の名前で「30で独身で何が悪い茶」とか「親から文句いわれる筋合いない茶」とか、長い名前がついて、それが人気ということ。

そういうところで鬱憤晴らしかと思うと可哀そうにもなりました。

社会主義国家でも、若者の本音は日本と変わらない、と感じています。

 

「金」についても、特に24K純金とか22Kとか高い純度にこだわりません。

金よりプラチナのほうが「クール」というOLも北京や上海には多いです。

日本のファッション誌が出回っていますから、大都市だとファッション感覚は日本人とさほど変わらない。

それでも、純金にこだわる若者も多いことが日本と異なる点でしょうか。

北京の最新ショッピングモールの入り口一等地にスタバ、ケンタッキーと並び、チャイナ・ゴールド(金販売全国ネットチェーン)が出店していることが印象に残っています。

 

 

さて、私は5月の第1週と第2週と、NY出張になります。

日本株についてのレクチャーを頼まれているのですが、いい機会だから、ヘッジファンドや年金基金の個別訪問もやってきます。

セルサイド(販売業者)のセールストークにはうんざり、という連中が、自由な立場からの本音を私から聞きたがるのですよ。

事前に寄せられた質問の中には、「大阪のスクール問題」というのがあって、これって森友のこと?と思わず苦笑しましたよ。

勿論、金関係の連中にも会ってきますから、ブログやツイッター@jefftoshima

で現地から色々呟くことになるでしょう。