ポルトガル、リスボン郊外のリゾート地、シントラが今や「欧州版ジャクソンホール」の場になった。

ECBが主催する経済シンポジウムには、世界の中央銀行関係者やエコノミストが集い、議論を交わす。

昨年の同会議ではドラギECB総裁が「デフレの力はリフレの力に換わった」と発言。

インフレに楽観的な見方を明示して、市場のユーロ買いを誘発した。

更に、同会議直後に主要中央銀行が相次いで「異常な金融緩和からの脱出」に動き、シントラでなんらかの「シンクロ」が合意されたのでは、との「シントラ密約説」まで市場に流れた。

それから一年。

 

 

南欧経済不安再燃、貿易戦争激化の兆候、新興国経済減速とマクロ経済環境は激変した。

6月ECB理事会で、ドラギ総裁はインフレ率2%達成に自信を示し、大規模資産購入政策の年内終了を発表しつつも、利上げ開始時期は2019年夏以降と発言。

満期を迎える保有国債の再投資も継続と語り、タカ派とハト派の妥協の如き印象を市場に与えた。ユーロは急落。

その直後のシントラ会議でも、ドラギ総裁は「利上げ開始については、忍耐強く、段階的に」と述べ、ECB理事会のフォワード・ガイダンスを追認した。

ユーロは続落。ドル高でドルインデックスは95の大台を突破。

但し、「安全通貨」の円だけは貿易戦争懸念で買われ、ドルも対円ではドル安となった。

しかし、市場も冷静になると、政治リスクによる円買いは一時的と見做され、円相場も109円台から110円台に戻している。

結局、政治要因より金利要因が優勢の状況である。

シントラ会議でも、ドル高の弊害として新興国通貨安問題が論じられよう。

昨年は主要先進国シンクロ利上げ現象が生じたが、今年は新興国利上げ連鎖が拡大するかもしれない。

米中貿易戦争報復舌戦の様相が強まる中での中央銀行首脳発言から目が離せない。

添付写真はシントラ。筆者撮影。

山の上の宮殿・庭園とか町全体が世界遺産。

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さて、今日の日経朝刊証券面に金についての15段全面広告が載っています。

社団法人日本金地金流通協会が金の健全な普及のために実施している意見広告です。

私が原稿を書きました。題は「ビットコインと比較して分かる金の特性」「現物を長期保有せよ」。

金ETFも現物と交換可能が前提。

「金はインカムを産まないから投資不適格」だとか「金は資産運用で脇役」だとか、業界関係者がハラハラするような物言いで、金の長期強気論を展開しています。

嘘っぽいPR文は嫌いなので、ずばり核心を突きました。