昨日の続報。若干、昨日のブログとかぶるけどね。
裁判所ビル前にカメラが並び、マナフォート・トランプ陣営元選対委員長に陪審員が有罪を決めるや、記者たちの集団が一斉にビル内から飛び出し走り去って行った。ほぼ同じタイミングでマイケル・コーエン元顧問弁護士が有罪を認め司法取引に応じたことで、トランプ政権にはダブルの衝撃度となった。トランプ氏の浮気相手の一人とされるストーミー・ダニエル嬢は、今や、米国社会で最も注目される女性の一人だろう。人気番組「60ミニッツ」に生出演して、生々しく告白したときは、約6千万人の米国人が画面に釘づけになったものだ。翌日の職場は、この話題で持ちきり。高級紙NYタイムズの紙面も、タブロイド紙のごとき様相となった。
争点となった浮気相手への13万ドルとされる「口止め料」支払いを実行したとされるのがマイケル・コーエン氏。ロシア人富豪関与の可能性も報道され、女性スキャンダルから一気にロシアゲートにも飛び火した。
NYでヘッジファンド14社にレクチャーしたときも、話題が「モリカケ問題の日本株への影響」に及ぶと、「我々は大統領のスキャンダルで慣れている」と一笑に付されたものだ。
民主党支持のヘッジファンドでも、こと投資となると、トランプ相場のモメンタム(勢い)を失いたくない、との本音も透けた。
足元の企業決算はトランプ減税、規制緩和などの追い風を受け、絶好調が見込まれる。
そこに突発的政治要因が出現した。
市場はその衝撃を冷静に受け止めていたが、昨日NY株式市場の後場に入り、ジワリ売り要因として効いてきた。ダウ平均も88ドル安で引けている。
欧州外為市場では、ロシアゲート捜査進展の可能性を嫌い、ロシアルーブルが急落する局面もあった。
市場の関心は、大統領弾劾の可能性だ。ロシアゲート捜査中のモラー特別検察官率いる精鋭弁護士部隊「勝ち点1」程度では、リスク慣れした市場に激震走る、とはならない。
その弾劾のためには、下院過半数の動議、上院2/3の賛成が必要だ。特に共和党、民主党拮抗の上院(定数100名)で17人程度の造反共和党議員が出ることは考えにくい。
現実的な市場への影響としては、中間選挙を控え、危機感を強めるトランプ大統領が、市場の重荷となった米中貿易戦争で対中攻勢を強める可能性が懸念される。
債券・外為市場では、投機筋のドル買い・米国債売りポジションが過去最大級のレベルまで膨張したところだ。この仕掛けの「出口」を模索するヘッジファンドが、「大統領弾劾の可能性」を殊更に囃し、ポジション手仕舞いの口実として利用するかもしれない。
昨晩発表されたFOMC要旨は市場に軽くスル―されたが、焦るトランプ大統領が、FRB介入姿勢、ドル高牽制発言を強めるシナリオにも要注意だ。
株式市場も、基本的には企業業績のファンダメンタルズ重視の姿勢だが、「マイケル・コーエン氏はロシアゲート関連でモラー特別検察官が興味を持つ事を語るかもしれない」との報道が流れると、突発的展開に身構えざるを得ない状況だ。
金市場にとっては、買い材料になるかも。反転要因のひとつ。