昨晩のNY市場は、米中会談に関する動きと、FRBの利上げ姿勢に一喜一憂する展開となった。

ダウが最安値をつけたときは、トランプ習近平会食に対中強硬派ナバロ氏も同席するとの報道が流れたときだ。いっぽう、トランプ氏が対中合意模索の姿勢をみせると、株価は反騰。市場内の長期マネーは、長期化必至と割り切り、傍観を決めこんでいる。対して、短期マネーは、様々な憶測を売買材料に仕立て、短期戦を仕掛ける。総じて、マーケットは、トランプ氏と習近平氏が笑って握手するだけで当面の安堵感が醸成され、株価押上げ要因になる、と期待している。決裂すれば株価急落は必至で、株価を通信簿とするトランプ氏が望むところではない、との読みもある。市場は株価を人質にとったごとき発想だ。

なおブエノスアイレス滞在中にトランプ氏が直接会談するのは、習近平氏、メルケル氏、安倍氏の3名に限定されるようだ。韓国文大統領の名前も挙がっていたが、事務レベルでの会合に留まるとされる。

 

利上げ関連では、11月FOMC議事録が発表された。「緩やかな利上げ」との表現を声明文から削除すべきか、との議論が注目される。緩やかでも、迅速でも、利上げペースに関する表現は取り除き、全てはデータ次第、予め決められたペースはないのがパウエル流ということか。これまで記者会見がなかった1月、5月、7月、11月のFOMCでも記者会見を開き、刻々変わる経済情勢に柔軟に対応しつつ次の利上げ有無を決めてゆくスタンスだ。実務・現実路線といえようか。市場は、これまで、3月、6月、9月、12月のFOMCで利上げの可能性だけを取沙汰してきたのだが、来年からは、経済に大変動あれば、例えば5月に利上げするような事例も考えねばなるまい。ほぼ通年、利上げのトピックが市場変動要因となりそうだ。

 

なお、一昨日、株価急騰のキッカケとなったパウエル発言を、市場は誤解していたのではないか、との議論も浮上している。

そもそも中立金利が3%前後とされるのは、9月発表のドットチャートで、「2022年以降の最終的金利水準予測」が2.5%から3.5%のレンジで割れており、その平均をとったものだ。正確には2.5%が3名、2.75%が4名、3%が6名、3.25%が1名、3.5%が1名となっている。

そこで、10月にパウエル氏は平均値の3%からはほど遠いと語った。しかるに、一昨日の講演では、レンジの下限2.5%には近いと述べた、との解釈である。したがって、パウエル氏の発言は変わっていない。利上げ棚上げではなく、まだ3回以上は利上げの余地を残すと意味とのエコノミスト見解が市場では注目されている。

米中貿易戦争と様々な金利予測がマーケット内で火花を散らせている。

 

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