今週最大のイベントは、FOMC。
市場は年内利上げ無しを織り込み、更に、来年1月までに利下げ1回の確率が29%に達してきた。2回利下げの確率も5%を示している。
対して、FOMC参加者は年内1回程度の利上げを見込む可能性がある。注目はFOMC後に発表されるFRB経済見通しだ。そこに掲載される「ドッド・チャート」で、年内1回に意見が集中しているのか、或いは2回、ゼロ回も含めて見方が割れているのか。
そもそも、ドット・チャートはFOMC参加者の予測を分布図で示す。結果的に、金融政策の方向性が明らかになる。それゆえ、市場の関心は高い。
しかし、パウエル議長は「ドット・チャート」廃止の可能性を示唆している。あくまでも参加者個人の予測に過ぎないのだが、市場では強い材料となり、思惑から乱高下を誘発しがちだ。
次に注目されるのは、最近、ウオール街のはやり言葉になった感のある「忍耐強く」という表現。利上げには慎重な姿勢を表す、とされる。金融政策の方向性は、我慢強くデータを見ながら決める、との姿勢を明示している。Patientは今や、FRB議長はじめ、地区連銀総裁の講演でも、必ず使われる単語となった。
仮に、この言葉が今回削除されれば、すわ利上げ視野かと、市場は荒れるかもしれない。
FRBバランスシート圧縮も重要な議題だ。
既に、引き締め効果のあるFRB資産圧縮を年内に棚上げの可能性をパウエル議長は示唆している。
今回のFOMCでは詳細に議論されそうだ。
その結果、年内、例えば9月を目途にFRB資産圧縮停止となれば、NY株式市場では「緩和的措置」として歓迎されよう。外為市場ではドル安・円高要因となるので、東京株式市場は素直に喜べない。
特に、今回気になるのは、FOMC声明文発表とパウエル議長記者会見がNY時間20日午後になることだ。日本時間では21日休日の早朝となる。日本が休場の早朝という時間帯は、円が短期投機筋に最も狙われやすい。飛び石連休の合間は通常は取引が薄くなるが、今週の22日金曜日に限っては要注意だ。東京市場がFOMCの結果を受け、初めて開くことになる展開になるからだ。
なお、FOMC参加者の目は日銀にも注がれる。
例えば、クラリダFRB副議長は、「欧州と日本は未だマイナス金利・ゼロ金利の危機対応モードで、経済ショックへの対応が容易ではないことを見逃すべきではない」ことを利上げ停止の理由として挙げている。
先週の日銀金融政策決定会合は、多くの欧米市場関係者が、その結果を見守った。これまでは「無風」とされ、材料視されなかったが、昨年後半から急速に注目度が高まっている。但し、昨年は「日銀の出口はいつか」が問われたが、今回は、もっぱら「日銀の追加緩和はあるのか」との質問が多かった。
市場では、主要中銀の「緩和比べ」がテーマとなり、相対的に緩和スピードが速いと見なされる国の通貨が売られる傾向が顕著になろう。
金市場には価格上昇要因となる。来年の話だが、万が一、早まって今年の利下げとでもなれば、サプライズ感は強く、金価格1500ドルも視野に入るほどのインパクトがあろう。
週末は、ABC朝日放送出演のため、大阪。テレビ局近くの「HANAKO晩酌食堂」に昼飯食べにいった。偶然にも20年来の私の知り合いシェフ関谷さん経営の店だ。最近、関西テレビで紹介されて人気という、「マグロ丼」を食した。さすが職人の関谷さんだけあって、和歌山まで出向いて独自のマグロ供給ルートを開発。これで1000円は価値ある。混み合う理由も分かる。裏メニューの関谷流牛丼も一味違う味だった。熱い赤だし味噌汁が体に沁みた。