1月FOMCで引き締めバイアスから緩和バイアスへの転換が示唆された直後に発表された雇用統計は事前予想を上回る良い数字となった。新規雇用者数は30万4千人増。11か月ぶりの上昇幅だ。平均時給も前年同月比3.2%増。6か月連続の3%台超えである。失業率は4%と悪化したが、これは政府閉鎖という一過性要因による。
更に、同日発表されたISM製造業景況指数は56.6を事前予測を上回った。受注指数も生産指数も好調だ。
FRB議長が利上げ・量的引き締め棚上げの可能性を示唆したが、足元の経済環境は悪くない。
そこで注目されたのがマーケットの反応だ。
最近の傾向では、経済統計が良ければ、過熱防止の利上げ観測が強まり、株は売られる。良いニュースは悪いニュースと扱われる傾向が強い。
しかし、1日のNY株価は、SP500株価指数は上昇。1989年1月以来の高水準となった1月の上昇幅の勢いは止まらなかった。
マーケットは経済統計が良くでも、利上げ観測は強まらずと判断したのだ。
もし、1月FOMCで12月に続き利上げバイアスが語られていたら、雇用統計を受け、株は下がっていたであろう。
パウエルFRB議長の緩和バイアスへの政策転換が市場に与えた衝撃度の強さを物語る一幕であった。
とはいえ、この政策転換の賞味期限も市場では3月まで、と割り切って見られている。
米中貿易戦争もブレクジットも3月までには最終正念場を迎える。
劇的な結末となれば、3月FOMCで、パウエルFRB議長は、今度は緩和から引き締めへ新たな政策転換を語るかもしれない。
イエレン時代のように、FRBがフォワードガイダンスにより中期的金融政策の方向性を明示す時代は終わった。
パウエル時代は、激動する世界経済により大きく振れる経済データ次第で、金融政策の方向性がFOMCごとに変化することが常態化しそうだ。
市場にとっては厄介な事態である。
引き締めなら株から債券へ、緩和なら債券から株へマネーはシフトするものだ。
ところが、最近は、株も債券も同方向に動く傾向が強まっている。
債券が買われた結果、米10年債利回りは今年に入り2.7%台から2.6%台へ下落している。一般的に株式市場は経済楽観論で育ち、債券市場は経済悲観論で育つ。
債券市場は「1981年以来の1月株価上昇」を冷ややかに見ているわけだ。
投資家も、楽観か悲観か決めかねて、二股かけている。
日本市場が注目するドル安・円高の流れも賞味期限は3月まで。
なお、最近のドル安・人民元高だが、中国にとっては、3月5日から始まる全人代までもってくれれば御の字。中国からのマネー流出リスク後退が全人代期間中にも続いてくれれば、中国人民銀行も金融緩和を躊躇なく語れるからだ。
FOMC緩和姿勢を、中国金融当局は歓迎していることだろう。
更に中国だけではなく、巨額ドル債務をかかえる新興国も、ドル安・新興国通貨高で小康状態を享受している。
そして、NY金は1315ドルへ反落。スピード違反気味の急騰だったので、当然の調整。これなくしては、逆V字型のバブルに終わってしまう。健全な値固め局面。2019年、やっと1回表の攻撃が終わり、これから1回裏の守備へ。まだまだ波乱万丈の予感。
そして、久しぶりに自由が丘マガーリに行った。渋谷から10分、しかも駅前なので便利になった。誘いやすい。メニューは旬の広島牡蠣のオムレツ。絶品!そして、火の通し方抜群のヤリイカと青菜のソテー。食後、その料理センスが光る、高さんこと、高須シェフ。一段落してバーコーナーで談笑中。職人肌で普段は無口なんだけど、私が全幅の信頼を置いているシェフだよ~~なんでも、最近はるばる熊本から来店のファンがおられたとか。京都の「らく山」にも行ったそうな。