「プラチナの現状」
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
プラチナが年末から急騰しています。
今回はその背景と今後の見通しに目を向けてみましょう。
昨年2017年はプラチナにとっては非常に厳しい年であったといえます。
その取引レレンジは以下のとおりで、特に年末にかけては一時900ドルを割り込み、貴金属の中でももっともぱっとしない値動きでした。
ゴールドと価格が逆転して丸3年、昨年はパラジウムに対しても価格逆転の憂き目にあっています。
(プラチナ 2017年のレンジ:ドル建て&円建て)
しかし12月FOMCで金利上げが決まった瞬間からの材料出尽くし感から、ゴールドの上昇が始まり、それを追従する形でプラチナも上昇を始めました。
年末年始を境にしたゴールドの上昇は過去少なくとも5年連続で同じパターンでマーケットが動いており、この年末年始も同じことが繰り返されました。
ゴールドは12月12日の1236ドルを底値として、大きくV字に価格が上昇、年末最終日の29日には1,300ドルを回復。1月半ば16日現在で1340ドルまで上昇を続けています。
↓のチャートを見れば一目瞭然ですが、このゴールドの動きにプラチナはそのまま従って上昇しました。
12月の半ばの900ドル割れのレベルから1月16日現在ほぼ1,000ドルと100ドル以上の上げとなっています。
ゴールドの上昇が最大のプラチナの上げ材料であることは明らかですが、それに加えてよりプラチナが上昇することになったのは、南アランドの急騰もその要因として考えることができます。
南ア与党であるANC(アフリカ民族会議)の次期議長に、ラマポーザ副大統領が選出されたことから批判の大きかったズマ大統領の影響力縮小を好感、ほぼ2年半ぶりの高値となっています。
ランド高はランド建てでのプラチナ価格下落につながり、南アの生産者からのプラチナ売却を減少させるという効果があります。
ただ1ドル12ランドではランド買いの需要も大きく、前回のランド高騰時であった昨年3月でもこの当たりが天井であったため、ランドのこれ以上の上値は難しいかもしれません。
(プラチナとゴールド:ドル建て1年)
(プラチナと南アランド)
「プラチナ今年の見通し」
再三書いてきましたが、やはりプラチナの900ドル割れは売られすぎでした。
今年2018年のプラチナは、基本的にやはりゴールド次第の面は否定できません。
しかしそれ以外にも今年の動きを占う上で考えるべきポイントとして以下があげられます。
・ 基本的にゴールドに従って動く
・ ただ他のメタル(ゴールドとパラジウム)に比べてまだまだ割安に置かれている。
・ プラチナの生産コストは980ドル当たりにあり、ようやくそのレベルまでマーケットが回復してきたところである。
・ 投資家の興味がようやく割安なプラチナに戻りつつある。(Nymexの投資家ロングが増加傾向)
・ パラジウムとの価格逆転がこのまま続けばいずれパラジウムのプラチナへの代替という昔と真逆の動きが出てくることが予想できる。
・ 70%以上の生産シェアを持つ南アの内政それによる南アランドの動き。ズマ大統領がその任期を終えることをよい材料とする南アランド上昇。
・ 世界の自動車産業の動き。EVはどれだけ急速に伸びることができるのか?
これらの条件下でプラチナは900ドル底値、ゴールドが1,400ドルを目指すと考えると1,100ドルくらいまでの上昇がありえるのではと考えます。
特に株式市場の上昇が非常に長く続いている今、その修正の動きにも注意を払う必要があると思われます。
大きな修正が入った場合はやはりゴールドは買われ、その買いがプラチナにも影響を与えるはずです。
円建てでは、底値は昨年末につけた3,200円、上値は3,800円、平均は3,600円程度になるのではないでしょうか。
おそらくここから3,200円への下落はないと思いますが。
ゴールドに対するディスカウントは4年目に突入。まだまだこの状態は続くと思われますが、プラチナが持ち直すに連れて徐々にその逆転幅は縮小していくのではないでしょうか。
個人的なターゲットとしては3,300円以下で買い、売る必要は感じませんが、もし売らなければならないとすると3,800円以上でしょうか。
(プラチナドル建ての動き:過去2年)
(同円建て)
(円建てゴールドとプラチナの動き:5年)
以上