シルバーも他の商品と同様にコロナショックの現金化の動きで、17ドルから大きく下落、一時12ドルを割り込む場面がありました。このレベルは2008-2009年のリーマンショックからの金融危機以来のレベルです。現金化の動きは、パニックの最終形態とも言えるもので、とにかく流動性のあるもの(売れるもの)はすべて売って現金化するという動きであり、株式に加えてゴールド、プラチナ、パラジウムとすべての貴金属も大きく売り込まれました。シルバーはそれに加えてコロナウイルスのための世界の産業シャットダウン需要の落ち込み予想から、シルバーは大きく売られたのです。メキシコ、ペルーと言った世界最大の銀生産国での鉱山生産も同じく遮断されたのですが、需要の落ち込みの影響の方がマーケットは重視、その結果これだけ大きな下落となりました。株価の下落が40%まで止まらなかったことで、コモディティにも究極の現金化の動きが起こり、流動性(現金)を求めて、持っている資産をすべて現金化するという動きが起こったのでした。しかしこの現金化の波は当然永続的には続かず、クライマックスが過ぎると自立背反的に上昇、3月半ばの12ドル以下からほぼ2ヶ月で急落前の17ドルを回復。7月月初には18.35とゴールドの上昇とともに大きく上げています。
3月18日、現金化で最も売られたのがシルバーでした。そのため金銀比価もその日には123対1と、歴史上最もゴールドに対してシルバーが安い状態になりました。そこからの戻しも早く現在は100対1を少し割り込むところまで来ていますが、それでもやはり歴史的に見ると100対1という金銀比価はこれまでにない異常にシルバーが割安の状況です。この点に注目して投資家の買いがシルバーに入ってきています。金銀比価の過去50年の平均は60対1程度。ここ15年でも80対1を下回るレベルが平均となっており、100対1はあまりに異常な状況だと言えるでしょう。
シルバーETFの残高は今年に入って急激に増加しており史上最大の残高になっています。12ドル割れから18ドルまでの価格の戻しは、ゴールドに比べての割安に注目した投資家の買いから来ていると思われます。
しかしながら当面この18.50ドル当たりには強固な壁があるように見えます。ここ一年、19ドルを超えて大きく上がる動きはなく、投資家も19ドルが近づいてくると売っているように見受けられます。
しかし、このレジスタンスを超えて上昇する可能性は十分あると思います。鍵を握っているのはゴールド。ゴールドは現在1770ドル近辺にありますが、コロナウイルスの拡大にともなった経済対策としての世界の金融当局による史上空前の金融緩和は、今後さらに進められていくでしょう。とするとゴールドはまだまだ上昇余地があります。リーマンショックに続いた量的緩和でゴールドは3年で600ドルから1900ドルまで上昇しました。あのとき以上の金融緩和が行われている現在、ゴールドはおそらく1800ドルはすぐにでも。そして年末から来年後半にかけては1900ドル、来年後半は2000ドルに上がってもおかしくない地合です。とすればシルバーも19ドルを超えて20ドルを目指す動きになるでしょう。割安な分、ゴールドよりも上昇が早いという見方を多くの投資家がしています。ゴールドに投資するのが王道でしょうが、シルバーの大化けの可能性に少し資金を回すのも一考ではないでしょうか。
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