(ドル建てシルバー)

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(円建てシルバー)

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昨年2018年11月13.9ドルの安値をつけた後、ゴールド価格の上昇とともにシルバー価格も2月後半には16.20ドルまで上昇、約17%もの上昇を演じました。しかし3月前半、ゴールドが1300ドルを割り込んだことで、シルバーもふたたび15ドルぎりぎりまで下げてきており、金銀比価は一時86対1と四半世紀ぶりの金高銀安のレベルまで上昇しました。銀はこのままふたたび低迷するのでしょうか?

(金銀比価の動き)

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2019年はそうではない違った見方をする投資家が増えてきています。専門家の中には、今年最も上昇する可能性があるのはシルバーだという意見も多いのです。私もその一人です。米国の金融政策がより「ハト派」的傾向を強めている反面、欧州はこれから金利を上昇させていく方向にあり、これは結果的に弱いドルにつながることになります。予想される米国経済の減速は、株価の下落を招き、それは貴金属への資金流入を促すこととなるでしょう。昨年はほぼ一年を通して大きな売り越しであった米国先物市場でのシルバーの投資家ポジションは、年末には一転、年初からはロングに回り、その持ち高は昨年9月の67トンのショートから、現在は60トンロングとほぼ130トンもの銀が投資家によって買われています。

(Nymexシルバー投資家ポジションとシルバー価格)

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また2018年はほぼ一年を通じて、投資家からの売りが目立っていたシルバーETFも、今年に入ってからは復調しており、投資家心理の明らかな改善がみられます。現物投資に関しても、銀に対する最大の投資家層をかかえる米国では、過去3年連続売り上げが大きく減少していたイーグル銀貨が、今年最初の2ヶ月の売り上げは、前年同期比で48%もの増加を記録しています。

 

需給的には構造的な供給過多状態が解決されることで、価格を支えるとみられています。銀現物に対する投資が増加しているのに加えて、シルバーの工業用需要は5年連続で増加が予想されており、鉱山生産の増加分を相殺する見込みです。その結果として2019年の銀の供給過多量は減少。過去2年間、銀の地上在庫の膨らみが投資家が銀に積極的に投資することを妨げ、それが金と銀の価格差の拡大の大きな一因であったのですが、この状況の払拭が予想される今年後半には、金銀比価は80対1を割り込み、シルバーの割安感も是正されるのではないでしょうか。市場流動性が低く、価格変動率が高いシルバーは、歴史的にみても非常に割安に捨て置かれている分、いったん上昇の火がつけば、おそらくゴールドをはるかに超える上昇率となる可能性が高いと予想します。ゴールドに比べてあまりに割安であり、絶対値としても15ドルというレベルは過去10年間の底値圏であり、ここからの下値不安は非常に小さいと考えます。ゴールドよりもむしろシルバーが今年はおもしろいのではないでしょうか。

以上