日銀が株ETFで購入した日本株の残高が25兆円を突破。

今や、日本の大企業の大株主、或いは筆頭株主が日銀という事例が珍しくありません。

実は、この話は、5月にNYでヘッジファンドたちと会った時に、最も話題になったことなのです。欧米感覚では、中央銀行が巨額の株を購入・保有することは禁じ手ですから。

日銀が株ETF購入に踏み切ったのも、あくまで、リーマンショック以降の有事対応が大義名分です。

平時になれば、いつまでも保有・塩漬けしてよいというものではありません。

問題は、25兆円もの巨額株式保有を、いかに処分するか。

まともに売ったら、或いは売るということを黒田さんが匂わせただけで、日経平均は暴落するでしょう。

私は、日銀の買いで日経平均が4,000円は上乗せされたと見ています。

日銀なかりせば、日経平均は未だ2万円以下だったでしょうね。

振り返れば、連日、午後2時過ぎると、兜町では、日銀の買いが本日は出るかどうか、市場の大きな注目点になっていましたから。

午前中に日経平均が前日比で下がると、午後2時以降に日銀が買い出動したものです。

ですから、株式市場も、すっかり「日銀依存症」になっていました。

そして、今、日銀の有事対応の禁じ手政策が、そろそろ終了する、即ち出口を迎えるとの観測が市場にはくすぶっています。

日銀金融政策決定会合後の記者会見でも、必ず、出口についての質問が出ます。

黒田さんは、強く否定して、物価が2%を大きく超えるまでは、量的質的金融緩和政策を継続すると断言しています。

しかし、市場は疑心暗鬼。

特に、米国FRBは出口に既に突入。量的緩和は終了。

利上げも始めました。

だから、金利のつかない金が今売られているのです。)

続いて欧州ECBも年内には量的緩和終了、来年後半には利上げか、との観測が有力です。

それに比べ我が日銀は、周回遅れで、出口はまだまだ先の話。

といっても、来年には、そろそろ黒田さんも、出口を意識せざるを得ないと私は見ています。

実は、今週発売中の週刊エコノミスト誌「2018年下期、世界経済・マーケット予測特集号」の冒頭記事に私もコメントしています。

更に、5人のエコノミスト予測で諸々私の予想を開示していますから、読んでみてください。

年末、日経平均が私は21,500円と他の4人のエコノミストの平均予測24,000円程度より、かなり低く見ているのも、出口を意識してのことです。

米国経済については長短金利差縮小あるいは逆転の可能性が気になるとも述べています。

この現象は、好調米国経済の景気循環サイクルが最終局面に突入する可能性を示唆していると解釈されます。

なお、私のツイッタ―@jefftoshimaに、日銀の株式保有比率が高い主な銘柄リスト(日経作成)を載せたら、大きな反響がありました。

 

 

(発行済み株式数の占める比率:%

アドバンテスト  19.3
ファーストリテイリング  17.5
太陽誘電   16.6
TDK   16
ユニー・ファミリーマートホール   15.3
東邦亜鉛    15.1
トレンドマイクロ   14.6
コムシスホールディングス  14.1
日産化学工業   14.1
コナミホールディングス   13.9
東京エレクトロン   13.1
日東電工   12.7
オークマ   12.2
三菱倉庫   12
京セラ   11.9

読者の中には、えっ、うちの会社の筆頭株主が日銀だったの、とビックリする人もいるかも...。

他人事ではありませんよ...。

なお、エコノミスト誌のHPをクリックすると、冒頭記事の筆者コメントを含め全文が読めます。↓

https://www.weekly-economist.com/