「米中貿易戦争にまで事態が悪化したのは、習近平政権が米国に対し、愛国主義的な強硬姿勢をやり過ぎたからだ。」
盤石と思われた習近平一極集中体制に対して、共産党内や一部学者から、公然と批判の声が上がるようになりました。昨日はロイター電が伝え、NY市場でも話題になり、日経も書いています。
中国のリゾート地「北戴河」で毎年開催される長老たちと現役最高指導部との恒例会議でも、この問題が挙がったとも報道されています。
長老たちは、米中貿易戦争の影響が物価高などで庶民に及び、社会不安が高まるリスクを最も嫌います。習近平も、さすがに、長老たちを無視するわけにはゆかないようです。
特に、習近平個人崇拝の風潮に警戒感が強まっています。
更に、批判の矛先が、まず、習近平側近の重要人物に向けられています。
現政権側も習近平ポスターなどを取り外すなどの措置を実行しているようです。
米中貿易戦争に関して、中国側は読み違えていました。
ワシントンでの米中直接経済対話で、大筋通商問題は解決の道筋がついた、と見ていたのです。ところが、その後、トランプ大統領は、知的財産権保護、ハイテク産業の技術流出などを理由に追加関税を発動。中国側も報復せざるを得なくなったのです。トランプは、とにかく、中間選挙しか頭にないから、国民受けする対中強硬策を相次いで打ち出したというのが実態でしょう。クビになったはずの、右翼黒幕とされるバノン氏の影響が再び政権内で台頭しています。
かくして、貿易戦争が消耗戦になると、痛みは一般市民に拡散するは必定。
中国国内にくすぶっていた習近平警戒論に火がついたわけです。
現政権が大きく揺らぐことはないと思いますが、ある程度の妥協姿勢を示さねばならないでしょう。
要は、トランプも習近平も振り上げた拳の落としどころを探っているのです。
米中共倒れという最悪のシナリオを回避するために。