異常な値動きと言わざるを得ない。昨晩のNY株価は、寄り付き後前日比350ドル超す急騰。アマゾン・アルファベットの「失望決算」を織り込み、回復基調に戻るかと思わせた。しかし異変は日本時間午前3時頃に起こった。「トランプ政権はいよいよ中国からの全輸入品に関税引き上げか」との報道が流れ、市場心理が一気に悪化。24前後で小康状態にあったVIXも瞬間的に28まで急騰。ダウ平均は一気に下げ圧力強まり、前日比560ドル超下げまで売り込まれた。日中の値幅は900ドルを超える。異常だ。救いは、大引けにかけて前日比245ドル下げまで急速に買い戻されたことか。

それにしても、連日のダウ平均乱高下。AIの売りが売りを誘発する制御不能の展開。「対中関税更なる引き上げ」というキーワードはアルゴ売買を刺激する。「市場に人影がない」とのトレーダーのつぶやきが印象的だ。ゴーストタウンのごときマーケットでモニター画面の数字だけが刻々激しく動く市場風景が連想される。この流れを止めるには、AI売買のスイッチをOFFにするしかないのか。

不気味なのは、株以外の債券・外為・商品市場はさほど大きな動きがみられないことだ。筆者にはスタグフレーションの影に怯えているようにも見える。

物価上昇が鈍いがジワリ上がってきている。昨日発表のPCEFRBが最も注目するインフレ指標)も年率2%を示した。加えて、サウジ異変が原油価格急騰を招くリスクも無視できない。関税引き上げが国内物価を引き上げる影響も効き始めている。

いっぽう、米債券市場では、イールドカーブのフラット化が解消されない。長短金利差を表す10年債と2年債の利回り格差は僅か20-30ベーシス(0.2%-0.3%)程度まで縮小したままだ。ここで、12月利上げが実行されると、相関の高い2年債利回りが10年債利回りを追い越し逆転する「逆イールド現象」が起こりかねない。過去の事例では、逆イールドの後は殆ど景気が後退しているので、市場は不気味な兆しと危惧する。

その結果、インフレと不況が同時進行するスタグフレーションが絵空事とも言えないのだ。

スタグフレーションは究極のリスクオフ。全員負けのシナリオだ。リスクオフ株安で買われるはずの金価格でさえ昨晩は下げている。

多くのファンドマネージャーが、当面リスク量を減らす「ディリスク」に走るとき、セリング・クライマックス(売りのピーク)が起こるのかもしれない。

中間選挙がいよいよ近づき、トランプ嫌いが多いウオール街も、本音は共和党勝利でトランプ相場のモメンタム(勢い)が継続されるシナリオを密かに願っている可能性さえ否定できない。

世界情勢は歴史的転換点にある。メルケル首相の与党首辞任だ。ドイツの内傾化により、EUはイタリア・ポピュリスト政権に対して、放漫財政に対する制裁金も含め「見せしめ」的に態度を硬化せざるを得ない。英国のEU離脱が悪しき前例とならぬように、ブレクジット交渉にも妥協を許さぬ、より強い姿勢で臨むであろう。市場は、ユーロという地域共通通貨の求心力低下を危惧する。ギリシャ危機より悪性の経済不安ともいえる。ギリシャショックの時には、未だ元気なドイツが居た。ECBもイタリア国債含め欧州国債購入を年内で打ち切る方針だ。

これまで量的緩和マネーに潤ってきた新興国含む世界の株式市場から流動性が引き潮のごとく引いてゆく。今や量的質的緩和を継続する日銀が、「最後の流動性の出し手」として意識されている。本日の日銀金融政策決定会合も無風と見られるが、世界の市場の注目度は高い。「何か発表あれば、こちら深夜でも電話でたたき起こしてくれ」切迫感に満ちたNYヘッジファンドの一言が印象的だ。

 

さて、今日の写真は各種北海道チーズの盛り合わせ@TAKAO(札幌)。私はワイン飲めないのに、チーズ食べてしまう。お茶で~~チーズは糖質ほぼゼロだから、いくら食べても血糖値は上がらないので、「罪悪感」なく食べられるのだ()でも、ブルーチーズだけは、ワインなしで、お茶だけでは流し込めません。堪忍~~~

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