日米通商交渉が「物品貿易交渉」と位置づけられ、為替条項は回避とされてきたが、日本側の甘い期待は崩れた。そもそも、NY市場では、「円だけ例外扱い」という解釈は殆ど聞かれなかった。それゆえ、筆者も、中間選挙前にスキャンダル続きのトランプ大統領が国内向けに「円安けん制」をツイートする可能性に注目して本欄にも記してきた。それが、ムニューシン財務長官の口から出てきたので、トランプツイートより現実味を帯びる。
とはいえ、足元は先週、株安で円高に振れた。考えようによっては、結果オーライだったのかもしれない。もし、株価急変なくして、円安が114円台から115円に接近するような状況でバリ島でのG20が開催されていたら、「為替条項要求発言」もより切迫感が強いトーンになったかもしれない。今後の円相場動向を見るに、114円台は「警戒水域」入りとの覚悟も必要だろう。日本企業決算発表で「想定為替レートを超える円安効果の恩恵」が語られれば、米国側を刺激することになろう。
なお、週末には、もう一つ気になる要人発言があった。
黒田総裁が同じくバリ島で民族衣装のまま外電英語テレビインタビューで出口戦略について、具体的に言及したのだ。
「金融緩和からの出口戦略の開始を知らせる準備が整った際は、金利目標の変更という形で明らかになろうであろう」
これは異例の発言といえる。記者からの出口についての質問はこれまで常にはぐらかされてきたからだ。仮に日銀金融政策決定会合後の記者会見で、同様の発言をしたら、大きな見出しとなったことだろう。
日本市場では、出口は2020年以降との見方が主流だが、欧米市場では、FRB,ECBの次は日銀との認識が切迫感をもって語られている。それゆえ、この程度の報道でも関心度は高い。
為替条項と日銀出口。いずれも、直ぐに円相場に大きな影響を与える要因というより、ジワリ円安を抑制する材料として、外為市場にはボディーブローの如く効きそうだ。
さて、先週金曜日のNY株価は、ダウ287ドル反騰で引けた。日中の高値は414ドル高、安値は瞬間的に52ドル前日比安と、まだまだ「余震」は残る。今後の余震が本震かのごとき懸念もくすぶる。
恐怖指数VIXの変動が話題になっているが、先週金曜日も、日中は20台から26台のレンジで乱高下した。それでも、警戒水域とされる20をやや上回る程度の21台で引けた。市場が注目したことは、VIX先物の値動き。スポットで21台だが、2018年11月限から2019年6月限は17から19のレンジでスポットより低い。先物専門用語でバックワデーションという先安の状況なのだ。これは、価格変動が現在最も強く、先に行くにつれ落ち着くという市場の見方を示す。株価は乱高下を繰り返しつつ、徐々に、安定してゆくシナリオを想起させる。
なお、今の個人投資家には、AIの動きを読み切れず、「アルゴ」が作動していないときでも、幻のアルゴ売買に脅え余計な売買をしてしまう事例も多い。
米国人投資家心理も変わってきた。金利上昇により、リスクをとっても報われない時代に入ってきたからだ。米2年債で年率2.8%いただけるのなら、無理して価格変動リスクの高い株を持つよりマシとの発想だ。ハイイールド債と国債の利回り格差も縮小している。
最後に、日本株だが、年初からのMSCIベースのリターン比較では、欧州株、新興国株、中国株に比し、マイナス幅が最も低い。対して、これまで一人勝ちの米国株上昇率が急低下中だ。米国株と米国以外の株のリターン格差が急速に縮小してきたことで、日本株の安定性が見直されている。
そして、NY金は、1220ドル台は維持できず1210ドル台に反落。ショートカバーが一巡すると、新規買いは未だ出にくい。とりあえず、急騰して安全資産の金としての存在をアピールしたことに意味があるね。
さて、今日の写真は蕎麦!私は「蕎麦評論家」を自認するほどの蕎麦好き。
特に、太い田舎蕎麦系が好み。蕎麦がきも大好物。
写真は人気店の更科大森。
実は蕎麦とそうめんは、血糖値には最悪なのだけど(健康食品のイメージあるけどね、炭水化物を噛まずにすすりこむから)。かといって、一本一本ゆっくり食べていたら、伸びてしまう。てやんでぇ、こちとら、江戸っ子だい笑 血糖値急騰などかまってられるか~~