最近、AI経由で、初心者が入ってきているので、改めて、初歩的な事を書いておきたい。

今でこそ、世界の中央銀行(特に新興国)が、外貨準備としてドルを売却して、金を購入しており、これが、金価格を支えているのだが、1990年代から2000年代初頭にかけては、欧州などの主要中銀が、争うように、公的保有金を売りまくり、金価格もついには250ドル(!!)という超安値に沈んだのだ。

当時の金市場は、次は、どこの国が金を数百トン売るのか、様々な噂の類が乱れ飛び、金ディーラーも、戦々恐々としたものだ。中央銀行側も、金価格が下がって、最も損をするのは、金を大量に保有する自分たちゆえ、1999年に、年間公的金保有量を500トンに留めるという、「自主規制」を決めるに至った。ワシントン協定と呼ばれる。その後は、各中央銀行が、年間売却額の枠を争って取り合う時期もあった。しかし、今や、ワシントン協定など、過去の遺物となっているわけだ。

さて、どこが売ったかといえば、下記の通り。

 •    イングランド銀行:約395トン
 •    オランダ中央銀行:約300トン
 •    スイス国立銀行:約1,300トン
 •    オーストラリア準備銀行:約167トン
 •    ベルギー国立銀行:約1,000トン
 •    カナダ銀行:約350トン

では、なぜ、売ったのか。

有事の金は不要、有事にはドル、という考え方が広まっていたからだ。
歴史的には、金本位制から管理通貨制に移行して、中央銀行が金融政策を仕切り、金に頼る必要はない、との発想が一般的になったのだ。

管理通貨制度が「性善説」とすれば、金本位制は「性悪説」ともいえよう。
人間に任せておけばよい。中央銀行は信頼できる、との確信が支配したのだが、その「確信」は、リーマンショックを機に脆くも崩れ、中央銀行が金を買う時代になったのだ。

それにしても、結果論とはいえ、英国などは、平均価格300ドル未満で、400トン近くの公的保有金を売り払ってしまったのだ。当然、この事実は、のちに、野党の恰好の追求材料になったものだ。

スイスやベルギーなどは、小国にも関わらず、1,000トン以上も金を売った。ショッキングな事実だ。

歴史的に俯瞰すれば、将来的には、AIが金融政策を仕切り、再び、金など不要とされる時代が来るのだろうか。
ふと、筆者は考えたりする。勿論、想像上の事だ。誰にも分からない。
まぁ、今生きている人が、生存中に、そんなことは起きないであろう。
そんなふうに書くと、「甘い!」との声も聞こえる気がしないでもないが。。。