
緑線がいきなり、ストンと落ちているところが、米中共同声明発表時点。その後、結局、3,200ドル台スレスレのところでの動きが繰り返された。下げたとはいえ、3,200ドル台という歴史的高値圏だ。
では、今後、3,500ドル奪回の可能性は?
3,500ドルを2回跳ね返され、ダブルトップ(二番天井)をつけたので、また、大台挑戦には、かなりのエネルギーが必要。イベントとして、今後90日間の期間で、米中通商協議決裂、というシナリオになれば、3,500ドル突破も考えられる。ただ、トランプは来年の中間選挙控え、習近平は中国経済の危機的状況が続いているので、ここで決裂すれば、米中共倒れリスクが生じる。
いっぽう、米国経済のスタグフレーション・リスクは依然根強い。雇用と物価を同時に安定させるのは至難の業だ。既に、米国経済のソフトデータ(消費者信頼感指数とか購買担当者指数など)は悪化しているが、これが、ハード・データ(雇用統計や今日発表のCPIなど)にいつ、どこまで反映されるのか否か。ハード・データまで悪化すれば、粘着質のインフレと同時進行となり、パウエルFRB議長も打つ手なし。
これが、もうひとつの3,500ドル突破シナリオ。
本欄で繰り返し述べてきたように、スタグフレーションともなれば、金の一人勝ち。但し、日本人としては、米国経済がスタグフレーションになれば、日本経済も巻き込まれるは必至。金市場の立場では上げ材料でも、日本としては、見たくない景色となろう。