瞬間タッチで3,500ドルをつけた後、3,200ドル台まで暴落した金価格は、3,300ドル台前半で推移している。
リバウンドが、いまいち弱い印象だ。
とはいえ、3,000ドル台は、異常とも思える歴史的高値圏。


この高値の最たる理由は、中央銀行セクターが年1,000トンを超す量の金を購入・退蔵していること。歴史的に俯瞰すれば、20年前の2005年には、中央銀行セクターは、663トンの売り手であった。需給統計でも、「供給」サイドにあった。それが、今や「需要」サイドで1,000トン超え。絶対量として1,600トン超の差である。年間生産量が3,661トン(2024年)の市場で、1,600トンの差は大きい。しかも、買ったら長期保有の退蔵である。金価格レンジの下値が切りあがり、3,000ドルをつけても不思議はない。

今の金相場はその現実を織り込む過程にあると理解できよう。とはいえ、いきなり3,500ドルとは、いかにも、やりすぎであろう。まだまだ値固めの期間が必要と感じる。もう一回、2,500ドルを見たうえで、3,500ドルまで買い直されるシナリオなら納得できる。


どちらに転ぶかは、トランプ次第。
米中対立が激化するか、譲歩するか。その一点にかかっている。