25%の関税発動に関して、米国国内の自動車メーカーも当惑気味だ。国内に新たな生産拠点とサプライチェーンを完成させるのに、少なくも2-3年はかかると見られているからだ。フォードとGMの株価は時間外でそれぞれマイナス4.7%とマイナス6.1%ほど急落している。

米国消費者の選択肢としては、当面、割高になる輸入車を買うのか、新車購入は諦めるか。前者なら物価高、後者ならGDPの7割を占める個人消費の減少。おそらく、二つの選択肢が同時進行することになろう。自動車ローンの税制に優遇措置が取られても、消費者心理への効果は限定的と見られる。
しかも、結果が出るのが2-3年先となれば、第二次トランプ政権の末期に迫る。その間、トランプ経済政策への国民の不支持率が下がることはあるまい。トランプ氏も、レームダック化が視野に入り始め、開き直るしかあるまい。

FRBの金融政策も、雇用優先とインフレ抑制のどちらに軸足を置くのか。自動車産業は、セクターが大きいだけに、パウエル議長は、危うい綱渡りが迫られよう。景気後退と物価上昇が同時進行するスタグフレーションともなれば、有効なポリシーミックスはない。全員負けのシナリオだ。

4月2日には、相互関税についての具体的発表も予定されており、NY市場では、Xデーと呼ばれている。自動車関税は、その予告編とマーケット関係者には映る。

自動車関税が発する不確実性は、中期的に、マネーが安全資産としての金に流入する現象を加速させることになろう。
 

(追記)
さて、お堅い話はここまでにして、思わずクスッとくる小話をX(ツイッター)@jefftoshimaにアップしたので、ご覧あれ。
おじさんのXにしては、かなりのアクセス数です。