
本欄では7日づけ「日経平均急落、令和のブラックマンデーを想起」、10日づけ「トランプ、株安認める」と、立て続けに株安警報を発してきた。そして、10日のNY時間に、週明けのNY株は、ついに大きく下げた。きっかけは、やはり指摘したトランプ発言。
FOXニュースに9日生出演したときに、司会者から「あなたが大統領になったとき、ビジネスマンで株価を重視すると、鳴り物入りでした。でも関税問題で株価は下げています。これは、どういうことですか」
「ちょっと下がっているね。大したことはないよ。」
「あなたは、動揺はあるというが、それは、株価下落のことですか」
「私が取り組んでいるのは強い米国を創ることだ。株価を見ることではない。中国を見なさい。100年の計で取り組んでいる。対して、米国は3か月ごとに結果が出る。」
その後、いかに各国が米国への投資を増やしているかを長々を語った。
結局、市場は「トランプ株安を否定せず」との見出しに反応した。
特に、ハイテク株が多いナスダックに下げがきつい。
実は、先週、パウエルFRB議長の講演があり、「米国経済は堅固。」と断じていたので、市場にも安堵感が走っていた。
それが、トランプ氏の一言で、ひっくり返された感がある。
NY市場は、かなり動揺して、株の損失を、含み益たっぷりの金を売却することで、補う事例も見られた。
その結果、金価格も、上がるべきところで、下げ。でも、2,900ドルまでの上げが急だったからね。たなぼた的な儲けと見られてもしょうがないよ。まぁ、これも有事の金、じゃないかな。株急落の有事に、これまで買った金を売って凌ぐ。金のヘッジ機能が発揮された事例であろう。
株安については、トランプ解説の「短期」で終わるか否かは、怪しい。
今週も相次いで発表される米国経済指標で、日々、大きく振られることになろう。困ったときの金頼みの傾向も、おりにつけ、見られることであろう。
それから、ドル安に動いたので、結果的に147円台まで円高が進んだ。
やはり、ドル建て金価格とドル高円安の同時進行という「都合の良い話」は続かないね。とはいえ、146円でも147円でも、かなりの「円安圏」と筆者は見ている。10年後には1ドル200円を想定して、筆者は自分の長期資産運用をしている。長期読者は、筆者の資産の半分はドル建てということを、繰り返し、聞かされてきたしね(笑)