やっと、NY金が40ドルほど大幅に下がった。
昨晩は、米調査会社コンファレンス・ボードが発表した2月の米消費者物価信頼感指数が8か月ぶりの低水準になった。ここのところ、米経済指標で不況感を示す数字が並んでいたので、またか、という感じ。トランプ関税が、インフレと不況を同時に誘発するスタグフレーション懸念が高まっている。
ここは、まさに金が買われるタイミングかと思いきや、金も急落。

本欄では、2月20日づけ「金急騰に死角はないのか」にて、金上昇スピード違反気味で、調整売りに入る可能性に言及していた。
更に、以下の原稿を今日付けでアップする準備をしていたところだった。
以下引用
急騰を続ける金相場だが、プロの視点では、黄色信号が点灯している。
それは、金ETF残高の急増だ。
本来、米年金基金の金長期保有のために開発・上場された金ETFだが、今や、短期投資家の売買ツールと化している。ETF市場の競争が激化して、売買手数料が大幅に下がったからだ。販売元の証券会社も、新規顧客を囲い込む手段として、人気の金を裏付けとするETFを戦略的に販売している。短期金売買の手段としては、先物取引が一般的だが、レバレッジをかけることに抵抗感を感じる個人・機関投資家のセグメントには、ETFが恰好の商品となった。
その金ETFの残高が膨張するということは、金先物買い残高の急増と同じく、手仕舞いのための売りのマグマが、市場の底流で静かに蓄積している、ということだ。一定の臨界点に達すれば、一気に大量の手仕舞い売りが噴出するリスクを孕む。
当面は、まだ金上昇のモメンタムが圧倒的に強いが、買い要因が陳腐化すると、急増した買い注文の自重で、新雪ドカ雪の表層雪崩が起こりやすい。
これは「劇場のシンドローム」と呼ばれる現象である。
満員の劇場で誰かが火事だ!と叫ぶと、狭い非常口に我先に観客が殺到するイメージだ。
既に、前兆が現れている。WGCの最新需給統計で、金現物宝飾需要が減り始めたことが確認されたからだ。如何に中国やインドの文化的金選好度が高いとはいえ、2,900ドルともなれば、さすがに手が出ない。しかも人民元安により現地金価格はより割高になっている。更に、タンスの肥やしとなっている古い金宝飾品をリサイクルで売り戻す誘惑は強まろう。
結果的に、実需の裏付けが薄い、投機主導の相場つきになっており、「売りの表層雪崩」が起きやすい地合いなのだ。
中央銀行など超長期保有の買い手が年間1,000トンを超す量を買い続けているので、金相場が急落すれば、押し目は拾われよう。
長期の上昇トレンドは変わるまい。
しかし、その過程で、金価格のボラティリティーはかなり荒くなりそうだ。
引用終わり
結果的に、一日早く、売りが出たことになる。
スタグフレーション懸念なら、金は買われるべきだが、他の資産クラスが売られ、その損失を補うために、たっぷり含み益を蓄える金が現金化売りされた次第。
NY金は、急落したところで、買い直されているので、出遅れ組が押し目を拾う展開だ。
基本的に長期上昇トレンドに、いささかの変化もない。
但し、相場に絶対はないと言われるが「上がり続ける相場」は絶対にない。
故に健全な調整売りなのだ。