国際金価格、ロコロンドンで2,910ドル台から2,930ドル台まで続騰。
NY金先物(4月もの)は2,950ドル台まで上昇。
もう材料は出尽くしたが、出遅れ組が、余り下げ余地がないと見て、現価格水準を受け入れ、新規買いを入れつつある。


さて、トランプ政権から、「米国の保有する公的金(概ね8,133トン)を売却して、得たドルを売却して、円など他通貨を買い、外為市場で、ドル安・円高・ユーロ高を実現させる」というような案が議論されている。
しかし、米国が保有金を売却し始めたら、即、金価格は暴落するであろう。
それで一番損するのは、金最大保有国=米国である。
従って、これは現実味が薄い。


更に、米国公的保有金の評価問題も表面化している。8,133トンの簿価は、1972年以来変わらず、42ドル。これを時価(2,900ドル)で評価すれば、7,600億ドルの評価益が出る。
これにより、膨大な米国財政赤字を一機に解消して、(少なくとも帳簿上では)財政正常化が実現出来るのではないか、との議論である。


更に更に、今やトランプ陣営重鎮のマスク氏(DOGE=米効率化省のヘッド)が、米国の公的保有金8,133トンほどが、本当に実在するのか、と疑義を呈している。
フォートノックスとNY連銀に預託されているはずだが、誰か、正式に総額を確認しているのか。そう言われると、誰も、確実にYESとは言えないのが実態だ。「監査」が無理なら、せめて、フォートノックス内の金塊の山をライブのyoutubeで見せろ、などの議論に発展している。

実は、似たような話が、以前、ドイツであった。ドイツ国内の民間団体が、ドイツの公的保有金は、本当に実在するのか、と声をあげたのだ。そこで、ドイツ連銀は、預け先とされる、NY連銀、イングランド銀行、そしてパリ国立銀行から、ドイツ保有の金塊を全てフランクフルトに空輸して、現地で確認した。史上最大の金塊輸送作戦と囃されたものだ。


米国の場合は、8,133トンほどの公的保有金の全てが米国内に保管されているので、棚卸は比較的容易に出来る。間違っても、どこかの貸金庫に保管されていることはないからね(笑)


かくして、一般的に、今や金が話題になることが増えているが、一夜漬けで金について勉強した有力者が、途方もないことを言い出す事例が目立つ。それを報道する方も、勉強不足で、NO!と言えない。


今後も、あきらかに、おかしな情報が、金市場に流されることが増えそうなので、要注意。