もはやNY市場はクリスマス休暇モード。
今週の12月FOMCが最後のメイン・イベントで、その後は、実家に帰るなど、休暇に入る市場参加者が少なくない。まだ、市場で売買を続けているファンドも、無理はしない。この時期にバタバタしているプロは、よほど大きな損失を抱えているケースが多い。しかし、今年に限っては、儲け過ぎという贅沢な悩みも見られる。

まず金を買った人。
そして、株式市場でエヌビディア株を買った人。
為替市場では、円キャリーで莫大な利益をあげた人。
債券市場では米国債売りポジションで大勝ちした人。

プロの場合は、今年の成績が良すぎると、来年それ以上の結果を期待されることもあるので、今年好調でも、ほどほどのところで抑えておく、という自衛心理が働く。或いは、割り切ってリバランスのための売りまたは買い注文を出すところも少なくない。

結果的には、日々の相場が、理論では説明できない動きが出やすい。
それを、まともに受け、あれこれ説明を求めるのは無益なことだ。筆者は、この時期になると、FOMCは例外としても、日々の相場の動きをフォローすることは、あえて控えている。その点、報道する側の人たちには同情を禁じ得ない。放送時間を短縮するわけにもゆかず、面は埋めねばならず、必然的に、話が細かくなる。今年の回顧とか、来年の展望の類も、連日記事に出来ることではない。今年の場合は、韓国政変とかトランプ政権移行チームの動きなど、政治的に大きな話題はあるが、それでプロが、この時期に新たなポジションを仕込むことは稀だ。

これが実態であるから、NISA初心者組の人たちには、「休むも相場」ということを頭に入れておいてほしい。話の濃淡が見極められず、単に異常な値動きにオロオロする様を見ていると、「まぁまぁ、ここは肩の力を抜いて、冷静に見守りましょう」と、おせっかいのひとつを言いたくもなる。

ちなみに、筆者がトレーダーで働いていた頃は、この季節になると、毎年決算で結果を出す必要がない個人投資家が羨ましかった。
プロの心理も単純なもので、「あと1週間あれば、ポジションを倍返しで勝つチャンスもあったのに」とか「決算対策が遅れ、期末近くの相場波乱に巻き込まれ、結局、暗いクリスマスになってしまった」とか悔いる事例が珍しくないのだ。
ここが、個人投資家でもプロに勝てるチャンスにもなる。

以上、「決算がないアドバンテージ」にまで思いが至らず、最後まで相場に振り回される真面目な投資家の方々へのメッセージである。