今日は、世界的マネーの流れについて、筆者が出張で感じたマクロの視点で纏めてみた。
題して、マネー米国集中、来年初には反動も。


NY勢の多くは、米国株上昇トレンドを肯定しているが、短期的にはバリュエーションから見ても、上げすぎの感が強く、来年1-3月期には、pull-back(反動)不可避との見解も根強い。
これまでの米国株上昇は、多業種にわたり、米国経済の底堅さを映す現象といえる。とはいえ、FRB利下げを当て込み、前のめり気味に「melt-up= なんでも上がる相場」にエスカレートしている面も否定できない、との見解だ。
(メルト・アップとはメルト・ダウンの反対現象を指す)

アニマル・スピリッツ(獣性)に駆られた投資家が、モメンタム(勢い)で仮想通貨を買い上げる事例が、その典型といえる。そのメルト・アップが株買いにも波及している。この部分は、短期投機ゆえ、来年初めにも売り戻される可能性が強い。

但し、関税引き上げの影響が、国内物価上昇再燃となるか、国内製造業底上げのプラス要因となるか、現時点では、見方が分かれる。
とはいえ、米国マネーはステイ・ホーム、すなわち、自国株買いがメインとなろう。
海外に行く、すなわち、外国株買いは極めて限定的だ。
筆者が、試しに「日本株は?」と探りをいれても、反応は薄かった。
政権不安定の日本、戒厳令の韓国に、あえてこの時期に新規投資するのは、「逆張り派」に限定されよう。

対して、ウオール街でのベッセント次期財務長官の人気は強い。
ヘッジファンド出身という履歴が「彼は、我々の仲間の一人だ」との一体感を生んでいる。
それでも、株価上昇への反動警戒が根強いのは、FRB利下げペースの鈍化が、ほぼ確実になってきたからだ。
サービス業中心の頑固なインフレが「インフレ退治の最後の1マイル」に手こずり下がりきらない。

この点に関して、先週は、FRB高官発言が相次いだ。
ハマック・クリーブランド連銀総裁は、労働市場は自身が想定していたより強く、「9月時点の自身の予想に比べて、利下げペースを落とす必要がある」と言明。現在の金利は経済を刺激も抑制もしない中立水準に近い可能性があるとも述べた。

更に、ボウマンFRB理事も「基調的なインフレ率は依然として当局目標の2%を「不快なほど」上回っていると、強い表現で指摘した。
現時点では「労働市場よりもインフレのほうがより大きな懸念だ」と語った。先週発表された雇用統計についても、失業率は上昇したものの、歴史的に見れば低い水準」との認識を示している。
仮に、パウエルFRB議長が、「不快なほど」というような強い表現をFOMC後の記者会見で使えば、たちまちドル金利は再上昇して、米国株は急落するであろう。

25年新年相場は、荒れた展開を覚悟せねばなるまい。
 

なお、足元の金相場は、急騰。
中国含む中央銀行の買い(昨日書いたこと)が効いている。