NY金は、さすがに反発したが、2700ドル近辺で推移。
健全な値固めの局面だ。
注目の11月FOMCでは、12月も0.25%の利下げを継続するのか否かが問われている。
米国経済は底堅く、来月は、利下げを見送り様子見に徹するとの見解が浮上している。
いずれにせよ、本格的なトランプ相場は、来年1月、就任後から始まる。
以下は、トランプ氏のFRBへの政治的介入についての原稿。
トランプ氏が FRB内部に放った2名の仕事人
トランプ氏のFRB切り崩し工作が、NY市場の中銀ウオッチャーの話題になっている。
4%台で高止まりするドル金利は、金利安・ドル安志向の強いトランプ氏が到底受け入れられることではない。不動産業の「商売人」で財を成したトランプ氏は本来、安い金利と自国通貨安を好む。みずから財政支出と法人減税の大盤振る舞いを公約した以上、債券市場での米国債利回り急騰は不可避の結果とはいえ、いずれ大統領就任後には、FRBへの利下げ圧力を強める意図が透ける。
そこで、同氏の隠し玉として、トランプ氏の「子飼い」と噂される2名のFRB理事の今後の行動が注目されているのだ。
まず、その「仕事人」として名が挙がるのが、ボウマン理事。
そもそもトランプ氏の前大統領時代に指名された。特に強く意見を主張するタイプではないが、忠誠心は強いとされる。しかし、9月FOMCでは、突然、0.5%利下げに公然と反対意見を述べた。FRB理事の「反乱」は2005年以来のことゆえ、中銀ウオッチャーの多くが驚いたという。これをFRB内部かく乱作戦と読めば、政治的圧力を企むトランプ氏はほくそ笑んだかもしれない。
次に名前が挙がるのが、やはりトランプ氏指名のウォラー理事。
9月FOMCで反対意見こそ述べなかったが、常々、大胆に意見を述べ、市場からは警戒され、FOMC内では、オピニオン・リーダー的な存在を構築中とされる。26年に任期が切れるパウエル議長の後任候補としても既に名前が上がっている。
この2名の理事が、隠然とホワイト・ハウスの意向をFOMC内に知らしめる存在となってゆく展開は、一つの可能性として考えられることだ。
かくして、トランプ氏は、大統領就任後、この2名を核に、FRB内で派閥を形成する意図なのか。同氏は、「私が大統領に再び就任したら、パウエル議長はクビだ」と発言したことがあるが、さすがに、これは「遠吠え」の域を出まい。
とはいえ、財政拡張的政策と低金利政策のポリシー・ミックスは相容れないものだ。現実的には、妥協点を探る展開となろう。
この流れは、日本にとっても他人事ではない。今でこそ、ドル高円安傾向が加速しているが、25年1月以降は、トランプ次期大統領の自国通貨安政策が、露わになり、日銀の利上げと相俟って、円高傾向が強まる可能性があろう。