世界情勢予測の第一人者であるイアン・ブレマー氏(ユーラシアグループ)は、イランとイスラエルの報復合戦については、終戦と見ているとの見解を示した。
もちろん、中東の火薬庫がいつ爆発するかもしれないことは大前提だ。
それゆえ、本稿見出しには「水入り」と書いた。
この流れに、金市場は激しく売りで反応。
イスラエル報復直後の2,410ドルから、一時は、NY金が2,300ドルを割り込むか、との水準に約100ドル幅で暴落した。
その後、NY時間に入り、4月の米購買担当者景気指数(PM)が前月比で低下したことを受け、利下げ議論が若干蒸し返され、2,330ドルまで戻している。
荒っぽい調整局面だが、筆者は、長期金価格上昇トレンドが継続されるためには、避けて通れない関門と認識して、歓迎している。


なお、ここ数日、NY金は、市況の法則に従った価格反応を見せているので、「謎の金高」と騒がれたことを思えば、価格形成も正常化しつつある。
次の市場のテーマは、4月30日~5月1日に開催されるFOMC。
その前に、今週金曜日に発表されるPCEインフレ率。
FRBパウエル議長が最も注目している物価指数ゆえ、注目度が高い。
1,2,3月と三か月連続で上振れした米各種インフレ指標は、FRBの利下げ政策に大きな影響を与えた。
インフレが想定以上に頑固で、利下げなど年内は出来ないかもしれない、とFRB高官が公言するまでになった。
年初は24年に7回の利下げを織り込み、上昇してきた金価格には、ちゃぶ台返しの成り行きだ。
昨日は、遂に、24年利下げ見送りどころか、今後12か月に「利上げ」の可能性が20%に達した。
絵空事で済まされない展開だ。


とはいえ、昨日本欄に添付したブルームバーグ電で詳説された中国の金爆買い効果や、世界の中銀金大量購入という強い追い風も吹いている。
今後は、2,000ドルが2,450ドルまで暴騰するような事態にはならないだろうが、じっくり2,300ドル台を時間をかけて値固めして、更なる上昇の土台を堅固にすることが重要になってくる。
いっぽう、為替は155円台の攻防或いは睨みあいが続いている。
円建て金価格には引き続き上昇圧力がかかりやすい。
介入で大幅に円高に振れても、介入が一巡すれば、再び、円売り第二波が始まるであろう。