17日のNY金(中心限月6月もの)は30ドルほど下落して本稿執筆時点(18日早朝)には2,377ドルをつけている。
なんだか、久しぶりの下げで、ホッとしている。
あのまま、2,450ドル、2,500ドルと跳ねていたら、山高ければ、谷深し。
急騰後、急落の展開になっていたであろう。
なにせ、NY金市場では、実需とはかけ離れた世界で投機マネーが買い上げているのだから。
それゆえ、健全な調整局面と見ているわけだ。
2,300ドルから2,400ドルへの上昇は明らかにスピード違反。
ここは値固めをしておかないと、バブル的結果を招くは必至だ。
それでも、NY市場からは、2,500ドルを早く見たいという気持ちが伝わってくる。
振り返れば、先週金曜日に、24時間で2,350ドルから2,450ドル近傍まで一気に100ドル暴騰後、同日に100ドル暴落した。
ビットコイン並みのボラティリティ(価格変動)だった。
突然の中東リスク・エスカレートに金市場も消化しきれず当惑していた。
しかし、地政学的リスクは陳腐化も速い。
イランがおとなしくなる兆候が見えれば、市場を動かす材料としての鮮度は落ちる。
その後、パウエル議長の爆弾発言が新たな材料となったことは昨日書いたとおりだ。
ドル円相場は、154円台で一進一退。
円建て金価格も、連日のように最高値更新が続いてきたが、とりあえず一服というところ。


なお、株式市場も下げモード。
こちらは、半導体祭りではしゃぎすぎたか、との反省で、二日酔い気分。
日米とも売られ、しかも、パウエル発言でドル金利が高い状態が長く続くとの予測が主流となり、逆風が強まっている。
同じ下げでも株のほうは、深刻だ。
日経平均も38,000円を割り込んだが、ここは、出遅れ組の外国人投資家がジックリ買いに入るであろう。
日本株に最も悲観的なのが日本人投資家。この対比が鮮明だ。


ところで、日本では地震が連発して心配だね。
金の世界でも、金を現物で自宅に保管している人は、山津波などで流されると、所有権を主張することが難しいので、やはり信用できる機関に保管してもらう傾向が強まる。
以前は、タンス預金ならぬタンスゴールドが多かったけどね。
それでも、企業破綻で保有株が紙切れになった苦い体験を味わった人は、「誰も信用できない」とばかり、現物を自宅保有にこだわる。
金の保管は、社会の断面図を映すので興味深い。