1ドル152円

 

ドル金利は、少なくとも米利下げ開始時期として意識される6月くらいまで、下がりにくい。
NY為替市場では、ドル高基調が続きそうだ。
この世界の流れに逆らって、ドル売り・円買い介入を実行すれば、一旦は140円台半ばまで戻っても、手を緩めれば、再び、じりじりと円売り・ドル買いの流れが支配的となるリスクがある。
日本の金融当局には悩ましい市場環境だ。
結果的に、投機的円売りの波を相手に、モグラたたきとなりかねない。
この背景としてNY市場で指摘されているのが、米政策金利高止まり予測だ。
まず、FOMCは年内の利下げ回数を3回に維持とされるが、最新ドットチャートを精査すれば、3回以上の予測が10人。
2回以下が9人の僅差である。
6月まで、3回の雇用統計とCPI(消費者物価指数)が控えるが、1月2月に見られた上振れが再現されると、容易に逆転する僅差ともいえる。
3月FOMC終了後も、待っていたかのように、ボスティック・アトランタ連銀総裁が、利下げ回数を今回は2回から1回に減らしたことを明かした。
粘着質のインフレと想定を超える経済指標の好転により、2023年12月時点に比べ、インフレが2%のターゲットに向けて下げ続けることに自信がなくなった、と述べている。
さらに、クックFRB理事は「ディスインフレの道は起伏が多く、平たんではない。インフレ鈍化は時間がかかり、利下げに対して、慎重にならざるを得ない」と語ったことで、利下げ回数2回以下陣営に属すると見られている。


なお、本日は、ウォラー理事の発言も予定されており、市場が身構えている。
同氏は、FOMC参加者19名の先陣を切って、初めて「利下げ」に具体的に言及したかと思えば、その後、「利下げには慎重に」と論調を変え、そのたびに、市場は振り回されドル相場も乱高下した経緯があるからだ。
今週は、29日金曜日に、パウエル議長が重要視するインフレ指標米個人消費支出(PCE)物価指数発表も控えるが、市場では上振れ懸念が語られている。
このような市場環境で、民間にも利下げ慎重論が目立ち始めた。その典型事例が、米国を代表するバンカーであるダイモン・JPモルガン・チェースCEOだ。
インフレは想定されたより粘着性が強く、政策金利も「高く長く=higher for longer」留まると語っている。
「もし、私がFOMC参加者なら、利下げには待ちの姿勢だろう」とも述べた。


さらに、FRBが史上最速利上げを敢行しても、懸念された不況に陥ることなく、米GDPは2%台を維持している。
米経済が軟着陸している最中に、利下げなど余計なことで資産価格バブルを誘発するリスクを冒す必要があろうか、との議論も根強い。
米国財政赤字が今後10年で2.6兆ドルに膨れ上がるとのCBO(議会予算局)予測も注目されており、米長期債イールドの上昇要因とされる。
ピムコの債券部門CIOはFTとのインタビューで、FRB利下げペース鈍化予測のもとに、保有米国債を減らし、英国債を増やすと語っている。


足元では、26日の米債券市場では、2月耐久財受注額が前月比1.4%増と、事前予測の1.0%増を上回ったことが材料視された。
同統計が前月の減少から増加に転じたことで、米経済の底堅さが意識され、FRBが利下げ転換に慎重になるとの観測が上値を抑えた。
このようなNY市場の場況を見せつけられると、日本の金融当局は、ドル売り・円買い介入のアウェイ感を抱くのではないか。
中期的な視点では、6月まで凌げば、米利下げ開始によるドル安が期待できる。
5月米利下げ開始説も「ライブ」とされ生きている。


総じて、4~6月期が真空地帯となり、転換点に備える期間と考えられる。
超短期筋には、不透明感が「草刈り場」と映るので、日々のボラティリティが激化する可能性もある。