FRBの動きがまた微妙になっている。
28日には、FOMC副議長格のウィリアムズNY連銀総裁が「2%ターゲット達成まで、まだ相当の距離がある」と語った。
最近の他の地区連銀総裁も利下げは「年の半ば以降=later this year」という同じ表現を使っている。
市場も今回はFRB側の予測に屈したかたちで、予想利下げ回数も年初の6回から3回にまで減っている。
そうなると年の前半は、ドル金利高止まりで、ドル高・円安基調は変わらずということになる。
なお、日銀の動きに関しては、「マイナス金利解除から利上げまでの距離は、FRBより遥かに遠い」とNY市場では見られている。
ちなみに、26年4月に任期が終了するパウエル議長の後釜として既にウォラーFRB理事の名前が取りざたされている。
同氏は、トランプ前大統領により指名され、両者の人間関係は良好とされているからだ。
ウォラー理事といえば、同氏発言で市場が大きく動いた複数回の局面が未だに鮮明な記憶として残る。
FRB高官として初めて「利下げの可能性」について具体的に言及したかと思えば「利下げは慎重に」と語り、市場は当惑した。
まずは、今晩(29日)に発表される米GDPデフレーター(通称、PCEインフレ率)に市場の注目が集まっている。
消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が相次いで上振れしたので、FRBが最も重要視するPCEインフレ率の結果如何で、円相場そして金相場は大きく揺れる可能性がある。


なお、本日29日の東京時間中に、日銀高田審議委員が、2%物価安定目標について「実現がようやく見通せる状況になってきた」「今日のきわめて強い金融緩和からのギアシフト、マイナス金利の解除など出口への対応も含め検討が必要」と発言したことで、円相場が150円台から149円台へ、円高方向に振れた。
といっても、149円で「円高」とは言いにくいけどね(笑)
そもそも、日銀がマイナス金利という絶滅危惧種みたいな金融政策を解除したところで、そこから僅か0.25%でも利上げすることが極めて難しい。
まず株価は暴落するだろうし、ただでさえ2四半期連続のマイナス経済成長ゆえ、不況時に利上げする展開になってしまう。
海外勢はそこまで読み切って、トレンドは円安方向維持を視野に入れているわけ。
円安で輸入物価高が家計の台所を直撃するなかで、そもそもドル建て資産である金を保有することは、家計を守るための通貨安ヘッジともいえる。
スーパーで値上げ商品を買わねばならなくても、資産としての金の価値が円建てで上昇することで、相殺できるわけだ。