連休中に、NY勢とリモートで話したが、次から次へ、日本株に関する質問を受けた。
参加者も多く、話題も幅広く、現在の日本人のライフスタイルの話にまで及んだ。
大半が、これまで日本株に見向きもしなかった人ゆえ、この豹変ぶりには、ただただ、驚くばかり。
現地経済メディアが大きく報道したことが効いている。
「ジャーナルで読んだよ」。
日本人ビジネスマンが「今朝の日経のあの記事を読んだ?」と話すように、NYではウォール・ストリート・ジャーナルの記事が引き合いに出される。
「そういうことだったのか」と記事を読んで知ったという人たちも少なくなかった。
断っておくが、参加者は素人筋ではない。
ウォール街に関与する、れっきとした玄人筋だ。
この人たちがこれから日本株買いに動けば、本当に大相場となる予感がする。
(ちなみに、今回の日本株急騰関連で日本のメディアに登場する市場関係者は、その多くが、日本株デスクとか、いわゆる親日派というバイアスがある。総じて日本についての知見が薄いので、日本株についての意見を聞こうと思ったが、逆に、先方から、ここぞとばかり初歩的な質問攻撃を受ける羽目になることも珍しくない)
世界のマーケットに関与して40年の筆者も、今回の日本株熱はホンモノだと改めて確信した。


さて、そのリモート会議で最も熱い議論となったのは、日経平均が、ずばり、どこまで上がるか?
日本の連休中に時間外日経平均は続騰していたこともあり、今週中にも4万円突破のシナリオも語られた。
4万円を突破したら、海外勢の日本株買いも一服との見方も根強い。
そこで、スピード調整が起きたら、日本株市場に新規参入との本音が透けた。
筆者は「君たちの多くがそう考えるのなら、4万円から調整なく、更に続騰しそう」と返した。
不気味だったのは、日経平均先物の短期売買を繰り返す投機集団。
終始、多くを語らず、ニヤニヤしている。
参加者全員が元スイス銀行出身者で、同窓会のようなカジュアルな集まりなので、「この人たちは、これから益々、日本株市場を荒らすは必至、ボラティリティは高くなり、フラッシュクラッシュ(エアポケットに入ったごとく、ストンと急降下後、急上昇する)が頻発するかもしれない。」と感じた。
日本株が、外海の荒波に晒されると、一日の日経平均変動幅が1000円を超す事態に身構える必要があろう。米国では常態化していることだ。
なお、米年金関係者からは、日銀が買った巨額のETFを売るには良い機会ではないのか、とコメントがあり、これもホットなディベートになった。
筆者は「私には、その出口が見えない」と語ると、長期運用の参加者たちからは、懸念の発言があった。
そもそも欧米では中央銀行が株価下支えのため巨額の株式を購入することなど「禁じ手」だ。
その結果、日銀が物言わぬ筆頭株主となることなど、論外扱いされる。
特に長期運用の年金基金は、このアキレス腱に神経質である。
今回の日本株上昇の賞味期限については、FRBの金融政策次第との指摘が目立った。
足元で米国経済指標の上振れが相次いでおり、FRB高官発言もマーケット関係者も、利下げ開始時期予測の5月以降への後連れが目立つ。
この不透明感が続く限り、運用資産の一部を日本株やインド株に廻す動きは続きそうだ。
それゆえ今週28日に発表される米国PCEコアデフレーターは、FRBが最も注目するインフレ指標ゆえ日本株の視点でも要経過観察である。
1月のCPI(消費者物価上昇率)とPPI(生産者物価上昇率)が上振れしただけに、インフレ指標の真打ち登場に身構えている。
総じて、現地の日本株のセルサイド(販売業者)は陶酔状態だが、バイサイド(顧客)では、慎重な楽観論が目立った。パウエルFRB議長がpatient(忍耐強く慎重に)に、しかるべきときを待つ姿勢を公言しているので、この単語(patient)がウォール街のはやり言葉なのだ。
NY市場で、日経平均4万円は「あるか」ではなく「いつ」について議論されているところだ。


なお、金については、明日27日、朝日新聞朝刊に、筆者寄稿文が載る予定。


それから、中国の金関連報道↓
「金を爆買い」中国の若者「唯一の希望の光」空前の金ブームの背景に「三つの理由」