注目の10月CPIは、重要なコア・インフレ率が下がり、金価格はKITCOグラフ緑線に示されるように急騰した。
追加利上げの可能性がゼロになったのだ。
金利を生まない金には朗報である。
外為市場では、ドル金利が下落して、円高に振れた。
といっても、151.60円程度だが。(これを今時は「円高」という)。
以下は、詳説。
「インフレ減速が確認された。さすがにパウエル議長の言い回しも変わるであろう」
無風が予測されていた12月のFOMCへの注目度が俄かに上がってきた。
特に、14日に発表された米国消費者物価指数で、最も注目されることは、最も重要視されるコアCPIの上昇率が、23年6-10月の5か月に年率2.8%まで下落したことだ。同年1~5月期には5.1%と高止まりしていた。
更に、FRB高官発言のニュアンスも既に変わってきた。
今年、FOMCで投票権を持つグールズビー・シカゴ連銀総裁は、「インフレ減速は、失業率が殆ど変わらないなかで、40年ぶりのペースで進行している。
これは、コロナ由来の供給障害がリバウンドして、生産性も向上、更に、インフレ期待が落ち着いていることによる。敢えて注意点をいえば、住宅関連のインフレか。インフレとの闘いは常に荒い道のりだ。」
但し、同氏は、CPI発表前の9日のウォール・ストリート・ジャーナル紙とのインタビューで「ドル高金利が実体経済を想定以上に冷やすリスクに注意せねばならない」とも語っていた。
金融政策の効果が出るのは1年~1年半後程度とされ、今後、潜んでいた悪影響がタイムラグをもって顕在化する可能性には引き続き目配りせねばなるまい。
更に、来年FOMCで投票権を持つサンフランシスコ連銀デイリー総裁は11日の米経済テレビ出演時に「インフレ抑制の進展が失速し経済が力強く推移する場合、政策金利を再び引き上げざるを得なくなる可能性がある」と警鐘を鳴らしていた。
同氏は、FOMC内でハト派の主導格とされているだけに、今回のCPIの結果に対して、どのようにコメントするか注目されている。
ことほど左様に慎重であったFRB高官たちが、今後、どのように発言を修正するのか、NY市場は見守っている。
当面の市場の反応としては、12月と1月の追加利上げの可能性は「ゼロ」になった。
問題は、利下げの幅と時期にシフトしている。
これまでは、来年6月以降という見解が支配的であったが、14日には、早くも24年3月にも、との意見が浮上している。
なお、本日には、米小売売上高と生産者物価指数(PPI)という重要指標が発表される。
CPI祭りに火を注ぐのか、冷や水を浴びせるのか、注目される。