今日も円安の話。
円相場150円突破は、NY外為市場でも異例の注目を浴びている。
特に為替介入に関して、10月26日の米国GDP発表前でなければ、機を逸する、との見解が目立っていた。
アトランタ連銀のGDPナウが2023年7~9月期の実質GDPを5.4%と予測していたからだ。
市場では「まさか」との受け止めが多かった。
仮に、これに近い数字が出れば、来週のFOMCでパウエル議長がタカ派的トーンに傾き、外為市場でのドル買い基調に拍車をかける可能性が指摘されてきた。
そして実際に26日に発表された数字は、4.9%。9月雇用統計と9月米小売り売上高に続き衝撃的(blowout)と表現されるほど、上振れした。
そこで注目されるのは、来週の11月FOMCで、パウエル議長が現況をどう語るかだ。
これまでは「強い経済成長の証拠が、インフレの更なる抑制を危うくする可能性があり(could)、金融政策の更なる引き締めを正当化する可能性がある(could)」と表現してきた。
今回も、同様の発言をすると見られるが、couldがwouldに変わるだけで、より強い表現になり、12月あるいは1月の追加利上げに含みを残すことが出来る。
NY外為市場では、それだけで、更なるドル買いに拍車がかかる。
NYの通貨投機筋は、FEDウオッチャーの、このような見解に注目して、身構えている。
それゆえ、為替介入も、日本の金融当局の立場に立てば、GDP発表前に実行しておくべきであった、と考えるわけだ。
FOMC後にNY市場発、円安加速のシナリオに注意したい。
なお、米国GDPだが、個人消費については、危うさを指摘する声もある。
コロナの自粛期間中に貯めこんだ貯蓄も底をつき、クレジットカードの支払遅延が増えていること。
更に、日本と同様に、シニアの活発な消費に支えられている、との指摘もある。
NY連銀の消費者調査によれば、世帯年代別、月間支出傾向を1年前と比較すると、40歳前が4.6%、40~60歳が5.1%、60歳以上が7.9%となっている。