国際金価格が強い。
理由をまとめると
1)中東リスク。イスラエルのガザ地上侵攻の可能性が高まり、緊張感がNY市場のセンチメントを悪化させている。
いわゆるリスクオフで金が買われる「質への逃避」が顕在化してきた。
今回の火付け役のイラン、そしてサウジアラビアも巻き込み、中東が荒れると、原油価格急騰が再燃して、その影響は、ウクライナを上回りかねない。
米国、中国、ロシアも、それそれ権益や存在感を守るため、世界分断化を悪化させるからだ。
2)パウエル議長が昨晩の壇上対話で、追加利上げに対する慎重な姿勢を見せ、追加利上げの可能性が遠のいた。
11月利上げ見送りは確実。
更に、12月、1月も利上げ見送りの可能性が6割に拡大した。
発言のなかで注目されたのは、市場で10年債利回りが5%の水準まで続騰したことで、FRBが利上げせずとも、実質的に「利上げ効果」が出ている、との考えを追認したことだ。
3)更に、FRBが、追加利上げせずとも、現在の政策金利5.25%~5.5%を来年後半も場合によっては維持する可能性も出てきた。
金利がつかない金には逆風になることだが、問題は、引き締め過ぎて、米国経済が景気後退に陥る可能性も強まること。
4)更に、NY市場でのドル金利上昇の理由の一つが、米国債への信認低下、場合によっては、米国債格下げの可能性にあること。
米国債増発が必至だが、それを誰が買ってくれるのか。
FRBが量的緩和で買ってくれていたが、今や、量的引き締め(QT)に転じ、米国債の売り手に回っている。
しかも、もう一つの米国債巨額保有者の日本と中国が、最近の傾向として、米国長期債保有を減らしている。
買い手が不足する米国長期債は、利回りを上げて、買ってもらうしかない。
これを専門用語でタームプレミアムという。
総じて、米国経済、米ドルへの信認が低下している。
5)政治的にも米国不信が根強い。
米国議会が下院議長不在というドタバタを演じ、世論調査では、トランプへの支持率が、バイデンを上回る事例も出てきた。
またまた政府機関閉鎖の可能性が語られている。
以上、複合的要因が、連日、日替わりメニューのごとく、効いている。
2,000ドルが「壁」だが、これを乗り切ると、史上最高値更新も視野に入る。
円建て金価格は、ドル円が149円で膠着しているので、国際金価格上昇が、そのまま反映される展開である。
というわけで、筆者も御用繁多ゆえ、遊ぶ時間もなく、「渋々」働いている次第。
外は爽やかな秋の日で、ゴルフ日和なのに(笑)。
睡眠不足で機嫌は頗る悪いよ~。