29日のNY市場で、ドル建て金急騰。
1,914ドルから1,939ドルまで急騰。

 

kitco

要因は二つの米重要経済指標の悪化。
まず、コンファレンスボードの消費者信頼感指数が事前予測116を大きく下振れ106。特に、消費者の雇用・賃金に関する将来への期待感が後退している。
次に、米求人件数が事前予測950万を大きく下回り882万。
一時は1千万の大台を超えている状況が続いていたので、かなり減ってきた感じ。
失業者一人あたりの求人件数は1.5程度になる。
これも、一時は2の大台に接近していた。
市場には不況の足音が聞こえる感覚が強まり、金には追い風となった次第。
但し、今週は、今日以降も重要指標発表が続くので、流れとしては、「荒れる9月」の前哨戦といったところ。
まだ始まったばかり。
ジェットコースター相場の予感もあり、シートベルトは低く強めに。


基本的に、ジャクソンホールでパウエル議長が逃げまくったので、市場は真意を読めず、神経質になっている地合いゆえ、投機筋には、草刈り場となる。
なお、不況の前兆とされる逆イールド(米長短金利差逆転現象)も今月は65bpまで縮小していたが、昨日は84bpまでまたぞろ拡大してきた。
まさに、不況の足音そのもの。


ドル円もNY時間で大荒れ。
一時147円突破したかと思えば、経済指標悪化で一気に145円台まで戻した。
それでも円建て金価格は堅調といえる。
ただ、ひとつ警告しておきたいことは、FRBが来年4月以降に利下げに転じると筆者はみている(おそらく2024年後半にずれこむ)。
これは強いドル安円高要因ゆえ、2024年には120円台と見ている。これは中期の見方。
長期では、筆者の筋金入り円安論は全く変わらず。要は、年々で見れば、円高の年もあって当然というところ。
市場は先取りして動くから、今年年末くらいには、中期的基調転換がありうる。
ここは、今後の経済データとFRB高官発言を見極めたい。
現時点で、FRBは、利下げなど論外との姿勢だ。
そして、ドル安になれば、ドル建て金価格は上昇する可能性が強い。
長期投資家の国際基軸通貨としての米ドルへの信認は低いままで、短期的な外為市場のドル相場もドル安(円高)になる。
NY金価格が上がっても、為替要因で相殺される地合いとなろう。
これは、円建て金価格の高止まりを意味する。
じっくり金を買い増す投資家なら、慌てることはない。
これまでどおりジックリ構えて臨むべき。