国際金価格は1,960ドル台まで下げている。

 

kitco

米債務上限問題が来週にも妥結が見込まれるという、あまり根拠のない楽観が要因だ。
昨日は、米地銀株も反騰している。
ひとまず、危機は去ったのか。まだ、構造的問題は残っている。
更に、NY金市場は、6月利上げ見送りから利上げ継続へ、潮目が変化して、ドルインデックスも101台から103台まで上昇してきたことを重視している。
最新のFED WATCHによれば、18日に6月利上げ確率が36%にまで上がってきた。
1週間前は10%、17日には28%と徐々に上がっている。
対して、利上げ見送り確率は、89%から63%にまで下落している。
6月も利上げ継続を示唆するFRB高官のタカ派的発言が相次いでいるからだ。
5月15日には、ボスティック・アトランタ連銀総裁が、年内利下げを否定したうえで、次の一手は、どちらかといえば「up」と利上げを示唆した。
更に同日にはカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁が、労働市場はホットで、まだ、やらねばならないことがある、と、これも利上げを匂わせた。
グールズビー・シカゴ連銀総裁は、ハト派だが、5月FOMCでの利上げ決定は、「際どい判定」であったと明かし、内部の亀裂を示唆した。
更に、18日には、ローガン・ダラス連銀総裁が、これまでの経済データでは、6月利上げ見送りは正当化できない、と言い切った。
ブラード・セントルイス連銀総裁も、FTとのインタビューで、次回のFOMCでは、「ダメ押し的な」利上げに動くと明言した。
5月FOMCでは、これが最後の利上げということが、示唆されたのに、なぜ、利上げ継続観測が強まっているのか。
そもそもCPIコアが4.9%と目標の2%からは、程遠いこと。
更に、金融政策にタイムラグがあるとはいえ、想定以上に、米国経済は底堅いからだ。個人消費も、まだら模様とはいえ、総じて、打たれ強い。
18日発表の新規失業保険申請件数は先行指標として重視されたが、24万2,000件と3週ぶりに減少して、労働市場で解雇は増えず、依然堅固であることを示した。


なお、金市場も期待する「利下げ」のハードルは高い。この1週間で、年内利下げ3回の確率は48%から15%にまで下落。
対して、利下げ1回の確率は2%から32%へ急上昇している。
結局、FRB側は、利上げ継続の可能性が膨らみ、市場側は、利下げの可能性が萎んだ。それでも、FRBと市場の間の予測の相違は0.5%から1%のレンジで、極めて大きい。
最終的に、どちらかに収れんするとき、国際金価格も為替も大きく動きそうだ。
筆者は、8月下旬恒例のジャクソンホール中央銀行フォーラムを、重要な転換点と見ている。
なお、為替は138円まで円安に振れている。これは、6月利上げ観測が強まり、ドル高、そして、円安になったのだ。


なお、本日の主なニュースは、


1.大谷翔平 ホームラン10号
2.日経平均バブル後高値更新

 

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