ソロモン諸島ガダルカナル島といっても、若い読者衆はピンとこないだろうが、第二次大戦の命運を分けた戦場で、多数の餓死者など日本軍悲劇の歴史がある。
そのガダルカナル含めパプアニューギニアから南東に広がる「島しょ」が、今や、米中対立の最前線となっているのだ。
中国は、その島しょ地域の小国を相次ぎ、援助などで抱き込む戦略を露わにしている。
南沙諸島同様、早々に軍事基地化して既成事実とする目論見が透ける。
対して、米国バイデン大統領も座視していない。
G7で日本訪問の翌週にはパプアニューギニアを訪問して、防衛協力協定に署名・発効の予定である。


筆者が関心を持つのは、資源の利権もからむ話だからだ。
金、銀、銅、ニッケル、ボーキサイト、鉄鉱石などの鉱物資源があるのだ。
ガダルカナル島には金鉱脈があり、そこの採掘をめぐり長年、もめてきた歴史がある。


ちなみに、環太平洋火山帯に位置するインドネシアの年間金生産量は117トンに達し、パプアニューギニアも40トンを生産する。
近隣のオーストラリアも315トンで、中国、ロシアに次ぐ金生産国だ。
金生産サイドでも注目されており、オーストラリアの金鉱山会社ニュークレスト社を米国金鉱山会社ニューモントが大型買収することも決定したばかりだ。
もはや、めぼしい陸上金鉱脈は開発が進んだので、金鉱山会社としてサバイバルするならば、有力な埋蔵量を持つ同業他社を買収することが、最も手っ取り早い手段となっている。


要は、既存資源のパイの食い合いだ。
それほどに、今後の金生産は頭打ちともいえる。
筆者が自信をもって長期金価格見通しは強気を語れる最大の理由でもある!
中国が南太平洋の島しょ部に食指を動かすのも、国防だけではなく金を含めて資源獲得の思惑があるからだ。