新日銀総裁が就任後、初の金融政策決定会合に臨み、大規模緩和を維持しつつ、黒田総裁時代の異次元金融政策の「検証」も行うことになった。
量的緩和政策の副作用も含めての検証となる。
といっても、「検証」には約1年かかる。
総裁は変わっても、金融政策は変わらない、否、変えられない。
変えるということは、超緩和から引き締め、更に、究極の利下げである「マイナス金利」からプラス金利への利上げ転換を意味するので、今の時点で変えれば、日経平均は暴落必至だ。
それゆえ、変えられない。
海外市場は、新総裁で日本の金融政策が遂に緩和から引き締めへ(世界的に見れば周回遅れだが)転換するか、と見守っていた。
日銀が実質的な利上げ(イールドカーブ・コントロール廃止)に動けば、日米金利差が縮小して、昨年とは真逆の「円買い・ドル売り」攻勢をかける思惑が透けていた。
しかし、「日銀、動かず」となれば、引き続き、ドル買い・円売り継続となり、135円台も視野に入る。
国際金価格は引き続き1,980~2,000ドルのレンジで推移しているので、円安効果で、円建て金価格には上昇圧力がかかりそうだ。
それにしても、マネーじゃぶじゃぶ作戦にすっかり慣れ切った日本経済は、いまや、量的緩和依存症で、おカネを点滴で投入し続けてもらわないと、健康が保てない。
そもそも、健康とも言い難い。
財務省が発行する巨額の国債を、日銀がホイホイと買い上げてゆく「悪循環」を断つことが出来ない。
日銀OBが、退職金を「刷れない資産」として「金」に投じる傾向は未だ続きそうだ。
現場で紙幣が刷りまくられ市中にばら撒かれる様を毎日目撃体験してきた人たちの退官後の投資行動を見るにつけ、背筋が寒くなる思いだ。
なお、NY市場では、FRBが重視するPCEインフレ率が下がらず、5月以降も利上げの可能性さえ出てきた。
これもドル買いに拍車をかけている。