中央銀行の金購入が7~9月期に399トンに急増した。
トルコ、ウズベキスタン、カタール、インドに加え、「購入量を発表しない中央銀行も相当量購入」した模様だ。
購入量をIMFに報告しない中銀といえば、サウジ通貨庁(SAMA)、アブダビ通貨庁、そしてロシア、中国の名前が挙げられる。
色々調べてみたが、筆者は「中国がロシアから金を相当量購入した」と見ている。
ロシア中央銀行は公的金保有量2,000トン以上あるのに、経済制裁で売るに売れない。
そこで、原油同様に金も中国がロシア産を買い付けることは現実的にあり得る。
本欄の長年の読者は、筆者の金3,000ドル予測の礎として、中国が公的金保有量を5,000トン目指して増やしてゆく可能性について言及してきた。
その時点では、ウクライナ戦争は勃発していなかったので、今や世界最大級の金生産国である中国は、自国産の金を中国人民銀行が買い付けるシナリオを想定していた。
断トツで世界最大の外貨準備量を誇る中国は、その大きな部分を米国債で保有してきた。
これは、なんとも具合が悪かろう。
そこで、一部を無国籍通貨=金に換えて外貨準備に組み入れることは充分にあり得る。
事実、中国も2,000トン級の公的金保有国となっている。
但し、中国人民銀行は、ときどき、まとめて報告する事例があった。
いきなり400トンほど急増したこともある。


もう一つ気になることは、中国がロシアから公的金を買い取ったとして、対価をどの通貨で支払ったのか。
ロシアの立場では米ドルが足りず、欲しかったと思う。
しかし、習近平主席は、人民元を国際通貨として認知させることを長期戦略として、IMFのSDR構成通貨として、ドル、ユーロ、円、ポンドに次ぎ、人民元を加えてもらった。
そして、ロシア中央銀行も、通貨の世界での米ドル一極覇権を嫌い、保有通貨のなかで、人民元の割合を10%以上に増やしてきた。
中国とロシアの連合軍で、通貨戦争に勝つ、との思惑が透ける。
たまたま先週発表された、BISが3年に一度発表する「通貨レポート」でも、世界の外為市場で取引される「通貨ペア」のランキングとして、米ドル88%、ユーロ31%、円17%、ポンド13%とした。そこで人民元が前回4%から7%に急増したことも明記されたのだ。
(断トツの通貨ペアがドルユーロ、次いでドル円という位置づけ。
円相場も全体から見れば、それほど大きくはない。
いずれ人民元に追い越されるかもしれない。)


さて、明日11月3日文化の日、日本時間早朝3時から、いよいよ11月FOMC声明文、同3時半からパウエル議長記者会見の運びとなる。
そこで、YouTube豊島逸夫チャンネルでは、同7時半から、総括をライブ配信で行う。
これぞYouTubeという媒体の醍醐味だね。
筆者も休日ゴルフに出掛ける前に、ひとくさり語ることになる(笑)