先週から今週にかけて、9月FOMCでの利上げ幅が0.5%か0.75%かで、NY市場には様々な見解が交錯している。
同時に、重要な経済統計も発表され、その解釈も、様々だ。
まず雇用統計。月間50万人を超える新規雇用者数の急増、そして失業率が3.5%まで低下。
これほど労働市場が過熱していれば、0.75%幅の利上げが適当であろう。という見解に対して、いやいや、失業率の低下は、見かけの現象との冷めた意見も根強い。
例えば、就職を諦め、求職活動をしていない人は実質的には失業者なのだが、統計上は、失業者とは見なされない。
更に、昼と夜と2つの職場で働く労働者も少なくない。
この人は2人とカウントされる傾向がある。
このような雇用統計を巡る疑義が、市場では、それほど失業者が減っていないのではないか、との議論となる。0.5%程度の利上げで十分ではないか、との考えにも通じる。


次に、これまで、それほど注目されなかったが、パウエル議長が、議会の公聴会などで、注視している統計として具体的に挙げたことで、市場の注目を集める統計もある。
まず、ミシガン大学消費者信頼感指数。
その中で、消費者視点での期待インフレ率(1年後)が3.1%から2.8%に減った。
これは、消費者がインフレは既にピークアウトと見ていることを示す。
FRBの金融政策が効いているともいえる。
更に、同統計のなかで離職率と言う項目がある。労働者が職を辞める割合だが、それが18.6%から19.5%に上昇した。
これは、今の給料より待遇が良い仕事が見つかるので現職場を去るということゆえ、労働市場が強いことを意味する。
多くの場合、仕事を辞め、自己啓発に励み、そのうえで次のステップアップを狙うので、良い傾向といえるのだ。


次に注目の統計がNY連銀の消費者サーベイ。
同じく消費者が見るインフレ感を統計化している。
今週発表された最新版では、食料品価格上昇率が9.2%から6.7%に下落と消費者は見ていることが明らかになった。
ガソリン価格も5.6%から1.5%へ急減を予想している。
これは統計と取り始めてから最大幅の下げという。
やはり消費者はインフレがピークアウトと見ている。
そして、8月10日に、消費者物価上昇率(CPI)が発表された。
前回は年率9.1%となり、0.75%連続利上げの強力な根拠になった。
しかし、今回は、8.5%へ微減。
やはりインフレはピークアウトとの見解の有力な根拠になった。
9月利上げは0.5%との予測が浮上している。
とはいえ、年率8.5%でも、かなりのインフレだ。
まだまだ紆余曲折はあろう。
パウエル議長も重要統計発表ごとに、あれこれ予想するのではなく、clear and convincing(明解で、納得できる)、つまり、中期的にインフレ低下傾向が確認できるまでは、強力な引き締めを継続すると明言してきた。
市場は前のめりに反応。ドル金利は低下。
ドル高からドル安に振れた。
132円で「円高」と騒ぐ。


金はCPI発表直後、1,800ドルを突破する場面もあったが、その後、1,790ドル前後まで反落している。
8%台のインフレを2~3%の水準まで抑え込むのは容易ではあるまい。

 

kitco<br/>

金相場は、インフレ懸念の買いと、利上げ懸念の売りが引っ張り合う展開だ。
更に、利上げで締め過ぎ、米経済が不況になるシナリオも重要。
これは金買い要因になる。
総じて、1,700~1,900レンジの筆者見解は変わらず。