注目の7月FOMC後、パウエル議長の記者会見。

利上げペース鈍化の可能性に言及。金市場と株式市場には安堵感。外為市場はややドル安で反応した。この記者会見はNY市場大引け前に開催されるので、本日のNY市場で更に材料の消化が進むと、また異なった反応になることが珍しくない。まずは第一波と見ておいたほうが良かろう。

筆者が驚いたのは、パウエル議長があっさり今後フォワード・ガイダンスを控えると明言したことだ。
今回の利上げサイクルの最終的落としどころ即ちターミナル・レートについての質問に答える過程でのコメントだ。
そもそも視界不良ゆえ、四半期ごとに発表されるFRB経済レポートも「鵜呑みにしないほうが良かろう(a grain of salt)」とも述べた。
結局、お馴染みの「会合ごとに決めるmeeting by meeting」との見解を繰り返した。

「利上げペース鈍化の可能性」への言及を歓迎した株式市場だが、FRB経済レポートを「眉唾」とのニュアンスの表現で語られると、唖然とするばかりだ。

FOMC後の記者会見出席者常連の米国CNBCスティーブ・リースマン氏は、自らのツイッターで「パウエル議長のドアがバタンと閉められる音を聞いた思いだ。FRBが今後予想される米国経済鈍化、更にはリセッションへの対応について語ることを完全に拒否した」と発言して怒りをぶつけた。

さて、利上げペース鈍化は、2023年に金融緩和への政策転換の予告とも読める。
やはり7月FOMCは前座だったようだ。
では、9月FOMCでは、より具体的シナリオが語られるのか。
最近のパウエル議長の戦術では、まずマーケットの織り込みを待ち、それを追認するかたちで自らの見解を述べる事例が目立つ。市場もパウエル議長を誘うように前のめりに動きがちだ。

焦れる市場と、時が熟するのを待つFRBの違いが鮮明である。