政府専用機でウクライナからの難民20名が到着した。
難民といえば、金の世界では、シリア難民が小さな金塊を布ボタンで包み、衣服にまとい、着の身着のまま欧州に逃れたというエピソードがある。
スイスと言う国も、欧州の中心部に位置するので、そもそも避難民の国である。
フランスから財産はナポレオン金貨だけを持ち、スイスに逃げ込み、その金貨を元手にレストラン経営始めた、というようなファミリーヒストリーが多い。
金は財産の原点なのだ。
だから、スイスの銀行は金売買を手掛ける。
とはいえ、最近の若者は家の宝とされてきた「ご先祖様の金」に思い入れも感じず、相続すれば、サッサと売り払ってしまう。


さて、金現物需給の話になるが、今の高値圏では、アジア中東の現物市場では、圧倒的に顧客の売りが多く、高値での現物買いは蒸発している。
その結果、例えば、ムンバイ現地は金現物がじゃぶじゃぶ有り余っている。
ムンバイの現地金価格をドル建てに転換すると、ロンドン標準価格より、30~50ドルも安い。(最近はこの価格差が縮小傾向だが)。
ムンバイで積み上がった金の在庫はロンドンに戻される。
従って、今の金価格上昇は先物買い主導で、現物は売り一色だ。
経験則として、このような状況は、中期的視点では、相場が天井に近い。
現物は売り一色、そこに、先物買いも利益確定売りに転換したときが最高値圏になる。


とはいえ、金現物需給の金価格への影響は、年々薄まっている。
特に金ETFが普及してから、金は金融商品色を強めている。
金需給が価格に影響を与えるのは、相場の天井が大底の時期に限られる。
その影響もジワリ進行するので、目立たない。
でも、通年で見ると、確かに効いている。


今日の写真はインドにて。
筆者が店頭の賑わいのなかで商品を持っているのは、「銀」コーナー。

 

インドの貴金属ショップ 銀コーナー
貴金属ショップにて

 

金価格が高くなると、「貧者の金」と言われる銀を買う人が増える。
仮に、2,000ドル前後の金価格が年内続くと、2022年の金需給で「リサイクル」という二次的供給源が記録的な量に達するかもしれない。
日本国内でも、円安で円建て金価格が高騰するなかで、貴金属店は買い取りコーナーが賑わっている。
まぁ、グラム3,000円とかで買った人なら売りたくなるよね。