最近、NY金市場のゴールドトレーダーたちとズーム対話していると金価格関連で「ロサンゼルス港の渋滞状況」が頻繁に話題になる。
中国から米国向けの大量のクリスマスギフト商品が同港沖に渋滞中の多数のコンテナ船内にある。米国内の小売り業者は気を揉む。
果たして、クリスマス商戦に間に合うのか。
もう、ネット経由では発売中の商品もある。
ロサンゼルスからの国内輸送もトラック運転手が足りない。
最新の状況は、渋滞のピークは過ぎたようだが、本格回復には、未だ数か月かかりそうだ。
米国西海岸の大型港湾には未だに80隻のコンテナ船が沖で順番待ちという。
中国から米国西海岸へのコンテナ運賃は足元で26%下がったものの、それでも約1万3千ドル。年初は4千ドルだったという。
振り返ると7月がピークで、数週間で70%も急騰したという。


何故、このような話題が金市場で語られるかといえば、結局、インフレ傾向が何時まで続くのか、ということが、いつまで金高騰が続くのか、の答えになるからだ。
今のインフレは一過性と言われるが、具体的に数か月なのか、半年以上なのか。
特に、金が今、高騰しているのは、インフレヘッジとして主として先物主導で買われているからゆえ、あれこれ先読みされることになる。
更に、人件費(賃金)上昇もインフレの要因なので、コロナから回復の過程で、人手不足となり、賃金が引き上げられる傾向が、いつまで続くのか、ということも重要だ。


そこで、米国最大の従業員数、約180万人をかかえるウォルマートの雇用状況もNY金市場で話題になる。
今週の同社決算発表で、同社CEOは、人手不足は解消に向かっていると語った。
しかし、人件費などのコストは上昇したので、同社は減益となり、同社株価は下がった。
今後の同社の課題は、コスト増を消費者にどこまで転嫁できるか、ということ。
米国消費者はコロナ自宅待機期間にしこたまカネを貯め込んでいるので、少々の値上げでも、購買意欲は衰えない、との見解もある。


このように、NY金市場では、具体的にインフレ継続について議論が交わされているのだ。
ちなみに、中国の来年の春節は2月1日。
それまでに、中国からの輸入品価格上昇はピークアウトするので、そこが、金価格の高値になるとの、うがった見方もある。
米中対話で、関税が引き下げられるか、という点も見逃せない。
もちろん、インフレ傾向は、マクロ的に、広範に亘る。それゆえ、金市場の話題も、多岐に亘る。全体像が掴みにくいので、ここが、投機筋が付け入る隙になっているともいえる。
それゆえ、筆者は金価格の短期変動に一喜一憂するな、と説くわけだ。


なお、パウエルFRB議長が再任されるか否かもやはり問題視される。
この点が決まらないと、実は、筆者も困っている。
紙媒体向けの原稿で、締め切りが今週末という事例では、FRB議長の名前をパウエル氏と決めつけて書くと、万が一のリスクがあるからだ。
かといってFRBの話題抜きで金価格は語れないしね(苦笑)。
バイデンさん、早く決めて!


今日の写真は、週末、富士山麓にて。
御殿場では男子ツアーの太平洋マスターズが開催中であった。
例年より、実に暖かい気候だ。

 

富士山麓