習近平氏の国営通信社系メディアへの寄稿文(15日付)が現地経済界で注目されている。
恒大信用不安に発する不動産セクターの危機的状況を持て余すなかで、日本の固定資産税にあたる不動産税の導入を強く示唆したからだ。
貧富格差を縮める共同富裕構想のなかで以前から議論されてきた不動産税構想が蒸し返されている感がある。
そもそも土地は国が所有して、企業や個人は土地の使用権を持つ国で、不動産税という発想は相容れない。


しかし、恒大問題が不動産依存型経済のリスクを露わにした今、無理筋でも、窮余の一策として強権発動でも実施せざるを得ない苦境が滲む。
習近平氏の苛立ちの矛先は、中国国民の行動パターンにも向けられる。
「共同富裕といっても、政府が全ての面倒を見られるわけではない」とモラルハザードの兆しには釘をさす。
シャドーバンクが組成、恒大関連事業に投資して年率7%を謳う「理財商品」に飛びつき損失を蒙った個人投資家への警鐘にも聞こえる。


更に、習近平氏は「寝そべる」若者にも喝を入れている。
中国人若者世代の、消極的で厳しい競争を回避する風潮に対する、これも警鐘と見られている。
恒大危機の被害者を救済せねば、大企業・富豪を規制する共同富裕構想に反する。
かといって、救済すれば、国民の甘えを放置することになる。
強権発動で切り抜けるには、危うい状況だ。


いっぽう、恒大社債保有者は救済の優先順位は低いが、不動産市場発の信用収縮悪化リスクがつきまとう。
ここでは、中国債券市場の脆弱性が露わになった。
決定的な欠陥は、国内に良質の機関投資家マネーが欠如していることだ。
そこで、海外マネー導入は不可欠である。


ときあたかも17日、中国当局は、ゴールドマン・サックスの中国証券合弁会社の完全子会社化を承認した。
同社ソロモンCEOは、17年間、中国国内で営業してきた実績を強調している。
モルガン・スタンレーとJPモルガンも後に続く姿勢だ。
ブラックロックも、外資系としては初めて中国で立ち上げた投資信託で10億ドルを調達している。
そもそも、米国市場が飽和状態のなかで、米国大手金融機関は中国を次の戦略的市場と位置付け、トランプ時代からトップ級の北京詣でを続けてきた。
中国側も、山積する米中経済問題のなかで、市場開放は自らの市場構造改革にも資する案件ゆえ、受け入れやすい。
中国側の目論見は海外マネーの地方債市場参加だ。
中国の地方自治体は、歳入の半分ほどを土地売却収入に依存してきた。
その土地を買い受け、更に、地方インフラ債を発行して開発を主導してきたのが「地方融資平台」だ。
しかし、不動産価格下落で、その地方債にデフォルト懸念が生じている。
しかも、その債務残高は恒大より一桁多い。
地方債市場といっても、誰がみてもバブル懸念がつきまとう地方債を敢えて買うのは結局国策銀行が主となる。
それも「中国人民銀行の適格担保」という甘味剤をつけてもらい、渋々買い受けたのが実態だ。
このような債券市場の構造改革には、荒療治でも、海外マネーの参入が必要だ。
習近平氏は、ここでも「政府が全ての面倒を見られるわけではない」と、改革の痛みを享受させねばなるまい。


なお、ロイター電(トムソン・ロイター)は18日付で、中国財務部が、約40億ドルのドル建て債を発行するため、14の銀行を指名したと報じている。
バンク・オブ・チャイナ、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ドイツ銀行、ゴールドマン・サックス、中国建設銀行などが18日に電話会議で打ち合わせるとされている。
中国債券市場のテコ入れは待ったなしの緊迫感のなかで進行している。


さて、写真はパフェ@千疋屋。

 

千疋屋

最近は徐々に対面の仕事も増えてきた。
この千疋屋パーラーのテーブルを仕切るアクリル板は特に厚く、話す相手の声が通りにくいので、つい大声になりがち。
コロナ禍で、小声で喋る癖がついているので、大声のつもりでも、普通の声量なのかも。