久しぶりに国際金価格が動意づき1,800ドル台まで反騰した。
(KITCO グラフ 赤線)
理由は米経済指標。
IHSマークイットが23日発表した8月の米国の購買担当者景気指数(PMI)が前月から低下して、55.4と市場事前予測58.3も下回ったのだ。
製造業、サービス業ともに前月比で下落となっている。
背景としては、やはり、デルタ型国内拡大の事例が増え、行動制限も強化され始めたことが、消費者心理を冷え込ませ、企業経営も消極的傾向になったことが挙げられる。
市場内には「やっぱり」という反応が目立つ。
覚悟はしていたが、米国経済減速傾向を示す経済指標の下振れとなったのだ。
まず反応したのが米債券市場。1.2%台で急落。
これを受け外為市場ではドル安。ドルインデックスは92台で下げた。
金利安、ドル安と、金買いの条件は揃ったわけだ。
そこで、まず動いたのは、先安感から投機的に先物市場で金を売ってきた投機家たちだ。
週末にはビッグイベントのジャクソンホール中央銀行フォーラムも控え、慌てて、売りポジションの買い戻しに走った。
既に米国先物金市場では、売りポジションが積み上がっている。
ということは、潜在的な買いエネルギーが蓄積していたともいえる。
但し、1,800ドル超えで買い戻しから新規買いが増えるかといえば、ジャクソンホール前ゆえ、慎重な姿勢だ。
そもそも債券外為市場も、9月始めのレーバーデーを過ぎてからが、本格的秋相場入りだ。
まだ、取引量は薄い時期である。
振り返れば、8月の金価格はフラッシュ・クラッシュで瞬間的には1,700ドル割れまで暴落した後、1,800ドルを回復したわけだ。
行って来いのゼロサム・ゲームとなった。典型的な夏休み相場である。
目先は、まだ、脆弱性が残る。
織り込まれつつあるとはいえ、テーパリング(量的緩和縮小)はドル高・金安に振れやすい地合いだ。
中長期強気、短期弱気のスタンスに変わりはない。