ワクチン接種により、これまで自粛していた米国人個人消費が一気に噴出した結果、米国経済成長率は今年4-6月期に6.5%を記録。コロナ前の水準を超えました。
しかし、年率6-7%水準が米国経済成長のピークで、今後、頭打ち傾向に転じるとの見解が増えています。
来年には2%台まで減速予測も市場には流れます。
そもそも成熟した米国経済が6%成長は異常であり、2-3%程度が所謂「巡行速度」と見られます。
この経済減速が既に始まっている証しとして注目されたのが、17日に発表された米7月小売売上高です。
前月比1.1%減。事前予測の0.3%減を超える落ち込みとなったのです。
その背景は、なんといっても、デルタ型変異種。「ワクチン接種したから、もう大丈夫。これからは外食も旅行も出来る」との期待で盛り上がった個人消費部門が、失望で委縮しています。
最新の報道でも、変異種対応のワクチン3回目接種(ブースター接種)を米国保健当局が推奨しています。
ファイザーもモデルナも変異種対応ワクチンを開発中。現時点では、モデルナのほうが変異種には有効とされています。
但し、その有効期限は6か月。
それゆえ、米国保健当局も2回目接種から8か月後にブースター接種を勧めています。
今後は、半年に一回はコロナワクチン接種が必要になるのでしょうか。今後の研究開発が待たれます。
この変異種の影響は、日本でも同じ。
まさに連日、記録的な変異種を含む感染者数が発表されています。
日本株にも、変異種不安で、下押し圧力がかかります。
変異種の影響は、米国金融政策をも動かしています。
この猛威が続けば、テーパリング(緩和縮小)どころではない話になるでしょう。
パウエルFRB議長も、デルタ型が予見不能として、注視する姿勢です。
市場は既にテーパリングを織り込んでいるので、仮にデルタ型拡散によりテーパリングが棚上げされたら、これはサプライズでしょうね。
そこで、金価格が、どのように反応するか。
これは、その場になってみないと分かりません。
最近の米ドル金利下落現象は、依然「謎」とされているからです。
要は金利動向が視界不良で読めない。
一般論としては、米ドル金利が上がれば、金利がつかない金は売られ、同金利が下がれば、金は買われることになるのですが。
市場は、今月末に開催されるジャクソンホール中央銀行フォーラムでのパウエル講演に注目しています。
今後の金融政策の方向性を明示する可能性があるからです。8月の最大ビッグイベントになりそうです。